槍ヶ岳から大キレットを越え北穂高岳テント泊縦走②槍ヶ岳登頂、夕刻は黄金色に輝く北アルプスに魅了される
最終更新日 2023-12-05
槍ヶ岳山荘のテン場より大喰岳方面 夕陽が標高3000mのテン場に差し込む
あたり一面が黄金色に輝いた
槍ヶ岳山頂部より
2017年9月末、初秋の北アルプス
槍ヶ岳から大キレットを越えて北穂高岳へのルートをテントを背負って歩いて来た。
この日の宿は標高3000mの天空のテン場。
長い一日を振りかえりながら、北アルプスに落ち行く夕陽を見つめた。
目次【お好きなところから】
テン場で突然名前を大声で呼ばれるという初めての体験をする
槍ヶ岳山荘のテン場は場所指定である。テントを張る前にまずは受付を行い、山荘が指定したテン場の番号が記された「木札」通りの場所にテントを張らなければならない。この日もそのことを知らずに張ってしまい、後から移動を余儀なくされた登山者がいたようだが、それぞれのテン場によってルールがあるのだから従うしか仕方がない。
昼を過ぎ、続々と登山者が上がってくる。山荘前のスペースでは青空の下登ってこれたことを喜ぶ登山者の喜びの声があちこちから聞こえてくる。こういう雰囲気はとっても好きだ。見ず知らずの登山者とも何となく気軽に声をかけあい情報を交換しあったりする。こういう雰囲気が守られていくことは山の安全のためにも大事なことだと思う。
兎にも角にも行列ができ始めていた山荘の宿泊受付の列に並ぶ。槍ヶ岳山荘の宿泊受付は小屋泊とテント泊で用紙が違っている。他の小屋では経験がない。人気の山だけに業務を効率させたのだろうななんてことを考えていると自分の順番になる。
テント泊1泊1名分は1000円。比較的高めだと思うが小屋泊10000円前後ということを考えればなんて言うことはない。
大きな木札を受け取り、指定されたテン場へ向かうと、大喰岳が望める広めの区画だった。
この日もfinetrackのカミナドーム1をパッと設営する。
設営後、夜の寒さに備えてエクスペドのダウンマットを膨らませている時、テン場に「みーパパさん!」という大きな声が響いた。驚いて「はい?」と返事をしながら外を覗き声がした方を見ると、見覚えのない男性が二人テン場の通路からこちらを見ている。すると、「北村登山です!」とその男性。何と、ブログを始めてしばらくしたころから読んでいただいていた方。名前が独特なので忘れようがない。もう一人は登山さんのお友達のずみさんだった。
本当にビックリしながらもテントから顔を出したまま挨拶すると、「みーパパさんが槍ヶ岳を登っていると知り合いから連絡があり、顔がわからないから名前を呼んでみた」とのこと(笑)。普通はしない!その行動力?に脱帽する。しかし、とても会いたかった方の一人なだけにとても嬉しく、また後でと挨拶をした。
登る途中に出会ったu10さんやbeefさんに続いての出会い。繋がりというのは面白い。そして、実はこの時もうすでに他の出会いもしていた。テン場に到着した時、先にテントを張り始めていた若い女性二人組がいた。一人はアライのエアライズ朱鷺色を張っていたので「珍しいな」と思って何となくその後も見ていた。
快晴の槍ヶ岳に登頂~この山旅一つ目の3000m峰-偶然の出会いが続く
テントを張り終えると時間は午後1時を少し過ぎた頃だっただろうか。
朝から簡単な食事しか摂っていないためとてもお腹が空いてきた。まずは腹ごしらえをして槍ヶ岳に登っておいてしまおうと思い、山荘受付横の自炊スペースへ。そこでは軽食も提供している。
生姜の効いた豚丼が美味しかった。シンプルに炒められた豚肉がご飯にのっているだけだが1000円ほど。それでも山では安いものだ。疲れた体に染みわたりとても美味しかった。本当はビールでも飲みたいところだが、高地ではすぐに酔ってしまうのでもう少し我慢我慢。
食事を終えて外へ出ると北村登山さんらと出会う。同じく槍ヶ岳へ登るという。
槍ヶ岳山荘から標高3180mの槍ヶ岳の山頂部分までは空いていれば往復1時間ほどだが、渋滞すると8時間かかったという登山者にも会ったことがある。それだけ人気の山。この日も海外からも含めて沢山の登山者が詰めかけていた。
槍の穂先には次々と登山者が取り付いている。その様子を見ながら北村登山さんらと会話しながらタイミングを待った。登山さんらはこの日早朝に奥穂山荘を出発、涸沢岳から北穂高岳、大キレットを越えてきたらしい。想像通り豪快な人だ。
昨年の長男みーの交通事故の話題にもなった。本当にご心配をおかけしたこと、沢山の励ましの言葉に助けれらたこと、あのまま命を失ってしまっていたらどうしようと思い、生きて頑張る姿を残しておきたいと思い「生きていく」として入院中の病院からブログにアップし続けたことなどを話した。あの時のことは今でも時折鮮明に思い出し氷つくような気持ちになる。一生忘れることはないし忘れてはいけないのだろうなと話しながら改めて思った。登山さんが心配しながら見守ってくれていたとのこと、嬉しかった。
そうこうしていると穂先が空いてきた。
よし行こう!
二度目の槍ヶ岳は慣れもあるのかサクサクと登ることが出来た。ササっと登れてしまったので途中の写真はない。
20分ほどで登り切ったのではないだろうか。3点支持がしっかり出来れば特に危ない場所はない。
槍ヶ岳3180m。この山旅一つ目の3000m峰登頂お疲れ様です。
いい日に登ることが出来た。
と、ここでテン場でエアライズの朱鷺色などを張っていた女性二人と会話に。実は後で「みーパパさんですか?」と声をかけられたのだが、インスタグラムでフォローしていただいていたpacaco15さんと707tさんだった。偶然のめぐり合わせに5人で山頂撮影ポーズ合戦のようなことをしながらしばし景色を楽しんだ。お二人は前日に燕岳から表銀座を通って槍ヶ岳まで歩いてきた。まだ通っていない表銀座は来年の楽しみにしよう。
槍ヶ岳の下山は途中まで一方通行。登りと下りでルートが分かれている。それでも数時間の渋滞になる時があるというけれど、この日はスムーズに往復出来た。写真で見るよりも実際には高度感はない。
無事にテン場へ戻ると陽が少し傾きかけてきた。しばらくテント内で休憩。翌朝は4時前に出発しなければいけない。あと12時間ほどしか時間がない。
雲がわき始めてきた。山荘で買ってきたビールを飲み、今日の夕陽はどうだろうかと思いながら横になっているといつの間にか眠ってしまった。
北アルプスに落ちる夕陽はこの日も最高に美しかった
ふと目を覚ますとテントの中が明るくなっていた。顔を出して外を見ると雲海に浮かぶ大喰岳と夕陽に照らされたテント。
山の時間で一番綺麗だと思う時間、一番好きな時間が訪れた。その前の奥穂高岳も良かったけれど、この日も期待できそうだ。
カメラを持って山荘側へ回り込む。
あたり一面黄金色に輝く。
滝雲?ユックリと尾根を越えて雲が落ちていく。
みなそれぞれにこの時間を楽しんでいた。
山頂からも。
30分ほどのトワイライトタイムも終了。いい時間だった。
陽が落ちると急に冷え込んでくる。急いでテントに戻ってシュラフに体を突っ込む。
簡単に食事を摂り、翌日の行程を再度確認。山で陽が落ちるとすぐに眠くなってしまう。翌日は長丁場だけに今日は早く眠らないといけない。ビールを少し残したまま結局すぐに寝てしまった。
山で朝まで起きずに眠ってしまうことはあまりない。どうしても喉が渇いて起きるので、着替えをスタッフバックに包んで作った枕の横にペットボトルを一本。翌朝すぐに食事を摂れるようにモンベルのリゾッタとリフィルタイプのカップラーメンを一つ置く。3分で食べられるリゾッタには今年はとてもお世話になった。
夜中何度か目を覚ますも、相変わらず目の調子はあまり良くなく、星がほとんど見えない。トイレに行くついでに一枚だけ撮影。
ブレブレ。機材も含めて夜の撮影を考え直さないといけない。そんなことを考えつつも今はとにかく体力の回復が第一。寝なければと言い聞かせてシュラフに潜り込む。
明日は今回の山旅のクライマックス、北穂高岳へ続く大キレットを歩く。
続く。
最新情報をお届けします
Twitter でみーパパをフォローしよう!
Follow @msn614
この記事へのコメントはありません。