【登山】南八ヶ岳「赤岳」は雪山を始めた登山者の一つの憧れ/2月に登る
最終更新日 2023-12-054月1日、赤岳で雪崩が起きました。今回歩いた文三郎尾根も雪崩が通過していったようです。雪崩は雪山では珍しくなく、飲み込まれたことこそないものの小規模なものはちょくちょく見かけます。過去には残雪期の北穂高岳でズリズリと流れ落ちるデブリの中を1時間近く歩いて下った事があります。直前に滑落を目撃し、精神的にもダメージが大きかった中でそこを歩かなければ戻ってくることは出来ないという選択の中での行動でしたがとても怖かった・・・。今回の事は改めて雪の山の恐ろしさと備えの必要さを痛感する出来事でした。詳しくは日本雪崩ネットワークのHPにまとめられています。まだ読まれていない方は是非一読を。
今回の私の記録は2月、まだ季節的には厳冬期と呼ばれる時期に歩いた赤岳の記録です。この日はとても暖かく、八ヶ岳ブルーの澄み切った空と春を先取りしたような気候の中での登山となりました。
目次【お好きなところから】
赤岳登山口「八ヶ岳山荘」へのアクセス
赤岳は日本百名山に数えられる山の一つ。標高2899mを誇り八ヶ岳の主峰として存在感を放つ山。山頂部は雪と岩のミックス帯が続いているのも特徴でしょうか。夏には阿弥陀岳から横岳、硫黄岳などの南八ヶ岳主稜線の縦走登山などでも人気のコースの中にある立派な山です。雪山を始めるとまずは目標の一つとなる山ではないでしょうか。
ちなみに名古屋からは中央道を北上し、南諏訪インターを下りてから下道25分ほどで登山口となる八ヶ岳山荘へ到着します。
普段は八ヶ岳山荘から雪の林道をさらに先に進んで赤岳山荘で車と停める事が多いのですが、雪の多かった今年は安全策を取って八ヶ岳山荘で車を駐車。八ヶ岳山荘へ駐車料金500円を支払って帰りに飲めるコーヒー券をいただいて出発しました。
2月の赤岳へ登る
アプローチ
この日の少し前、2月の前半3連休の際に登ろうと思って向かったものの午前4時台ですでに八ヶ岳山荘前の駐車場が満車状態だったため、諦めて編笠山に向かっていました。
一度向かった山が登山とは違った理由で登ることさえできなくなったりすると仕事をしていても何となくモヤモヤします。心のひっかかりを埋めるためシーズン中のリベンジとなりました。
八ヶ岳山荘駐車場は午前5時の時点でほぼ満車の状態でしたが3連休のそれに比べればまだまだ序の口でした。それにしてもコロナ禍の前よりも雪山人気が急速に高まっているように感じています。
天気予報を見ていれば必然的にそうなるであろうなと予感出来るようなまたとない好天予報。準備を済ませて歩き始める登山者が後をたちませんでした。余談ですがこれだけ沢山の登山者が歩くとルート上は踏み固められて大変歩きやすくなっています。正直地元の鈴鹿の深い雪の中を歩くよりも歩きやすい。
赤岳山荘から行者小屋/今回はノーアイゼンで
八ヶ岳山荘から赤岳山荘の途中は車両通行が許可された林道脇をショートカットしながら上がっていきます。日の出前ながら風もなく登り初めからジンワリ汗ばむ歩き。雪の多かった今年についてはこの区間は4駆、スノータイヤ、チェーンが必須。2駆で突っ込んだ登山者がスタックして動かなくなっているのを横目で見ながら歩きました。
雪の林道を歩くこと約40分、赤岳山荘に到着。アイスキャンディーはしっかり育っている様子。この区間はしっかり歩かれているのですがノーアイゼンかチェーンか12本か悩むところ。今回はノーアイゼンで行者小屋まで行きましたが、歩かれているだけに踏み固められてツルツルになっている部分もあってアイゼンがあると安心ではあります。ただあくまで今回は登りはノーアイゼンで。下りは12本付けたまま八ヶ岳山荘まで下りました。こういう林道歩きでツルンといってしこたま腰を打ったりすることがありますからこの辺りは何度も歩いて状況と道具の選択を上手に出来るようになるといいですね。
赤岳山荘横の外トイレで用を済ませて休憩なしで行者小屋へ出発。南沢ルートから目指します。
日の出前、急激に気温が下がります。歩いていても手先がジンジンして来るのを感じてきます。ハードシェルとオーバーグローブを装着。行者小屋までの緩やかな登りはほぼ樹林帯ながら後半は少しずつ横岳方面がチラ見えして気分が上がる登山道です。
約2時間の樹林帯歩きの終盤は眺望開ける雪原に。予報通りの青空と太陽。あー雪山に来たなと感じます。少し逸れますがこの直前にロシアによるウクライナへの侵略が始まっていました。非常に心が乱れ、やるせない気持ちでいました。だからこそ山へ、赤岳へ向かったというのがあるのですが、今回の登山の一つの目的は山で平和を願って来ることでした。実はザックに「ノーウォー」のバッジを付けている方がチラホラ見えて嬉しくなったものです。
行者小屋に到着。雲一つない真っ青な空がお出迎えしてくれました。
今回目指す赤岳も視界良好。青と白の世界観が雪山の独特の美しさですね。
行者小屋前で12本爪アイゼン、ヘルメット、ピッケル、ヘルメットを装着しました。持参した行動食をゆっくり食べましたが、この時期にこんなにユックリ出来たのは初めて。日によっては5分とジッとしていると指先などはビリビリと痛みが走り出すこともありますからね。2月ながらとても暖かくて助かりましたね。これもその日の天候次第なので行者小屋でゆっくりしようと思っていてとてもそんな事が出来ない厳しさということもありますからね。
文三郎尾根
それではユックリ休憩した後は赤岳へ出発です。小屋の右手テント場の奥へ進みます。地蔵尾根から赤岳へ向かう場合は小屋の裏手を回り込んで樹林帯の中へ。
歩き始めすぐに表れる標識はようやく雪の上に現れ始めていました。
樹林帯の急登が始まりますがすぐに森林限界へ。右手の阿弥陀岳方面がドーンと迫力ある姿で圧倒されます。
見上げるような雪の壁。初めて赤岳を登った時はちょっと怖かったのを記憶しています。下ってくる登山者からの雪の塊がたまにぶつかったりしますが大丈夫。鎖はほぼ完全に埋もれていますね。
壁をちょっと登り切ると大展望。
アップ!北アルプスですよね??山座同定が苦手な人。
横岳・硫黄岳。手前の横岳のカッコよさ。
さあもう少し先へ。2月なのでこのあたりの雪は腐ってはいませんが、残雪期に入るとグサグサになって登りにくいでしょうね。
同じ阿弥陀岳方面も少し登ると姿がガラッと変わってきますよね。時間による光と影の変化も同じことが一度もないので飽きることない世界が山にはあるなと改めて感じます。
実はこのあたりから風が強くて強くて。許容範囲内の風でしたけれどこんな風になるとサングラスかゴーグルがないと目はいっぺんに傷ついてしまいます。
今回はサングラスで大丈夫でしたがもちろんゴーグルも持参していました。
ようやく文三郎尾根の分岐点標識が視界にとらえられてきました。あの途中を雪崩が横切ったんでしょうね。
文三郎尾根分岐到着です。
見事な八ヶ岳ブルーにお出迎えされました。阿弥陀岳方面。
奥に南アルプス。
風が吹き抜けるので休憩するような場所ではありません。先へ行きましょう。夏場は休憩ポイントになっているのかな??夏の赤岳は数回しか登った事がなくてよく覚えていません。
赤岳山頂へ
ここからは岩と雪のミックス帯。今回は雪が多目でしたけれどそれでも岩の露出も目立ってきます。気を付けたいのはアイゼンの引っかけですね。どれだけ注意していても引っかけるのでヒヤヒヤします。急がず急がず。
竜頭峰の手前、バックステップで下りてくる登山者がいます。下りだとかなり下まで切れ落ちているように感じる場所ですからね。慎重に行きましょう。
下を向くとこんな感じですね。
文三郎尾根の分岐からしばらく急登を登り詰めた後に到着する竜頭峰。
細い踏み後を辿って大きな岩を登っていくともう山頂は目の前。
もう一息。
お疲れさまでした赤岳登頂です。
風が強いのですぐに退散しましたね(笑)。右の端に赤岳頂上山荘。もちろんクローズしています。
頂上山荘側に移動して赤岳山頂を一枚。こう見ると狭そうですが、結構広くて天候次第では休憩出来たりしますね。
富士山もバッチリ。
赤岳は山頂へ至る様々なルートがありますから楽しみも色々。季節によってももちろん違うので今年はもっと楽しんでみたいですね。
地蔵尾根から行者小屋へ
さあ寒いので下ります。まずは赤岳展望荘への急な下り。雪がしまっているので下りやすかったですけれど太もも近くまで埋まりながら下った事もあり降雪状態次第では難易度も変わるので注意ですね。そして風がいつも強い。
振り返ると急ですね。
少し離れて阿弥陀岳方面を。やっぱりカッコいい山ですね。
地蔵尾根の分岐点まで下ってきました。ここで風を避けながら少し休憩しました。そしてお地蔵さんに平和を願う。
今回の一番の核心部でしょうかね?地蔵尾根の下り初めとその先のナイフリッジは若干緊張します。
ドシャ~っと崩れたらどうしようといつも思いながら通過します。
下り途中から赤岳と赤岳展望荘。こう見るとどこで雪崩てもおかしくないですよね。
危険個所・緊張箇所を過ぎて一気に気持ちよく下ります。緊張もとけて最高に気持ちがいい瞬間。油断は大敵ですけどね。
行者小屋まで下ってきました。お疲れさまでした。皆さんどこかしらホッとしたような満足感を身にまとっているのが特徴です。同じ山を登ってきたものどうしの一体感みたいなものを感じますね。
改めて登ってきた文三郎尾根をアップ。この時間でも登っていく登山者が沢山いますね。
八ヶ岳山荘まで下りてくるとレスキューの方々が集合していました。何かあったのかもしれませんね。
駐車場に停めた車にザックを置いて山荘前のお気に入りのお店「J&N」さんへ。お腹はペコペコですからここに来ると必ずいただくビーフシチューを。
この日の山を思い返しながら美味しいご飯をいただいて名古屋へ帰りました。
今回の山は2月の厳冬期の時期とは思えない穏やかな天候の中で登る事が出来て条件が良かったですね。何と言っても八ヶ岳ブルーを久しぶりに味わえたのも嬉しかった。日の出夕暮れ時の時間帯にも山の中にいたいので今年は夏場にテント泊で訪れるのもいいかもしれませんね。季節は4月、山にも春が訪れ始め春から夏の山行計画を考えるのも楽しい時期ですね。
YouTube動画にもまとめたのでもしよろしければご覧下さい。
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