【白馬岳】残雪期大雪渓を登り白馬岳へ~白馬三山テント泊周回【1日目】
最終更新日 2023-12-05ようやく6月の山行記録をアップできそうでホッとしています。
実は昨年の分も何本か上げていないので、もう何が何だか分からなくなってきてはいるし、季節感も何もあったものではないのですが、2019年の夏が終わり秋も速足で駆け抜けてしまう前に残雪期の白馬岳登山の記録を書こうと思います。
「白馬岳」という山の名には特別な思いを以前から感じていました。そこは遠い過去の記憶がフッと現れる場所でもあるのです。
初登頂ではありません。
今から40年近く前、私が小学校の高学年の夏に母に連れられて登りました。山頂は濃いガスに包まれており、途中の雪渓に大きな穴がいくつも空いているのが怖くて仕方なかったことを鮮明に覚えています。今でも目をつぶると雪渓脇の登山道を「ゆっくり」と母に声をかけられながら「ザッザッ」っと歩いた瞬間がセピア色に蘇ってきます。
新田次郎の強力伝は白馬岳山頂に存在する展望図指示板を担ぎ上げた強力の物語ですが、この本の初版が1980年。私が登ったのはこの直後頃ですから、本好きの母も読んで影響を受けたのかもしれませんね。今回はそんなことを思い返しながらの山でした。そして、生涯の記憶に残るであろう登山となりました。
目次【お好きなところから】
残雪期の白馬三山縦走へ【1日目】
2019年6月1日~2日、北アルプス後立山連峰の白馬岳。日本百名山に選定され、夏には大勢の登山者で賑わう人気の山です。
白馬駅からもアクセスのいい猿倉から、日本最大の雪渓である白馬大雪渓を通って山頂に至る大雪渓ルートは特に人気で、夏期には大雪渓上で渋滞が発生するとのこと。渋滞するのは嫌だし、夏場になると大雪渓も徐々に縮小することから、梅雨前の残雪期に大雪渓を満喫することにしました。
折角なので白馬岳へ登頂し山頂からほど近いテント設営地でテン泊、翌日は南部にある杓子岳、鑓ケ岳を縦走し、鑓温泉を経由して猿倉へ至る白馬三山周回ルートを選ぶことにしました。
猿倉から白馬岳へ登山開始
登山口すぐ近くにある登山者用無料駐車場に着いたのは午前6時頃。駐車場は空いていました。夏山シーズン前ということでこんなものなのでしょう。時折厚い雲の切れ間から目指す白馬岳方面の様子が姿を現すというような天候でした。
猿倉の標高は1230m。白馬岳は2932mなので、単純に考えても標高差は1700m。今回はその大部分が雪渓歩きということになる予定です。
午前6時30分に駐車場を出発。
すぐに猿倉荘に到着。ここに大きな屋外トイレがあります。チップ制ですね。登山口は裏手から。
しばらくは整備された林道歩き。日も出ていないので気温も低く、テン泊装備を背負っていても少し肌寒く気持ちいいくらいの気候でしたね。
駐車場から45分ほど歩いた辺りから、ようやく登山道っぽくなってきました。昔の記憶は全く残っていないですね・・・。少しガスが出てきて、顔にはポツリポツリと当たります。予報では次第にガスが切れて来るはずですが、山の天気はわかりません。
大雪渓末端に到着、雪渓歩きスタート
出発から50分、さあいよいよ雪渓の末端に到着。ここから山頂近くまではずっと雪渓です。この時は「なんて贅沢な」なんて思っていましたね。後から考えると、雪渓長すぎです。雪はグズグズしているので、アイゼンは履かずに進みましょう。
末端部分の斜度はまだまだ序の口です。ゆったりとノンビリと周囲を見ながら登ります。雪の上を音もなく滑り落ちて来る落石だけは注意をしながら進みました。
長い雪渓歩き、ピッケルはどうしようかと思ったのですが、今回はストックのみ持参しました。
白馬尻小屋へ到着
出発から1時間、午前7時30分に白馬尻小屋へ到着です。徐々に青空が広がって、いい感じです。気温は一気に上がってきて、照り返しも相まって暑い!
お疲れ様です~小休止とも思いましたが、まだまだ大丈夫なのでそのまま進みました。現地では小屋明け準備が着々と進められているようでした。
大雪渓・小雪渓を歩く
白馬尻小屋から先も山頂まで途切れることなく雪渓が続いていました。それにしても美しい光景でした。
こちら人ぐらいの大きさの落石です。雪渓上を落ちて来たのでしょうけれども、この日は暑かったこともあり、雪がゆるんで落石が起きないかと注意しながら進みました。
時折傾斜が緩くなったり、またきつくなったり。とにかくずっと直登ですからさすがに疲れてきます。雪もズルズルしていましたが、傾斜が強くなってきたある地点でアイゼンをつけて登ります。
風もほとんどなくて暑くてたまりませんでしたね。
途中夏道が一部露出し始めていました。振りかえると結構な斜度です。雪渓の下の方はガスが上がってきていました。
ひたすら登ります。
左手には尖ったするどい岩峰。カッコいいですね。雪渓も残り僅かです。
一部雪渓の下の沢が姿を現していました。顔を洗いたかったのですが、数年前に落ち込んだことがあるので、近づかずにソロっと通り過ぎました。
翌日歩く予定の杓子岳へのルートも見えていました。
10時52分。出発から4時間22分、ようやく本日の幕営地である白馬岳頂上宿舎の姿を確認することが出来ました。タイム的にはわずか4時間ちょっとなのですが、ずっと直登一辺倒というのはかなり体力を消耗しました。甘く見たらいけませんね大雪渓。
小屋開け前のテン場で静かなテント泊
白馬岳頂上宿舎は白馬岳と杓子岳の稜線上にある山小屋ですが、6月初めのこの時期はまだ小屋明け作業も始まっていない状態でした。ただしテン場については使えるため、今回はこちらにテントを設営。
いつも通りカミナドーム1です。夏でも冬でもオールシーズン使えるので本当に重宝しています。
こちら小屋の上部から見たテン場。あまり広くはないですが、結局この日は3張りのみでした。
テントを設営した後は前日の寝不足もあって1時間ほど横になっていましたが、さすがにお腹が空いて来たので水を確保するために20分ほど登った場所にある白馬山荘へ向かいます。雪を溶かしてもいいのですが、白馬山荘では水を分けてもらえますから、楽な選択をしました。
白馬岳登頂
テン場から一旦稜線へ上がり、登ること20分で山荘です。
振り返ると槍ヶ岳のように見えますけど、剱岳ですね。絶景です。
目指す山荘はまるで砦のように白馬岳の手前に存在しています。行く手を阻む関門のようです。
日本最大級の山小屋らしいですね。この時も大勢で賑わっていました。
白馬山荘到着。昼食を!といきたいところですが、スカイレストランはまだ営業前。あまりにお腹が空いたので、カップラーメンをいただきました。
美味しすぎる!高くても買っちゃいます(笑)
それにしても立派な作りですね。城壁ですまるで。
カップラーメンを食べた後は、小屋の裏手から続く山頂への道をいきます。
ガレガレの道を15分ほど登るとすぐに山頂です。
はい、お疲れさまでした。日本百名山の1つ白馬岳登頂です。標高は2932mと3000mにはわずかに届かないのですが、流石登りごたえのある大雪渓を擁する立派な山です。
そうそう、今回はスポルティバのトランゴタワーを使いました。「オーシャン×サルファ」というこのカラーがとっても気に入っていますし、残雪期には持ってこいでした。
山頂には冒頭でも書いたように、富士山の有名な歩荷が担ぎ上げたという展望指示板が今もなお現存しています。
登ってきた大雪渓方面です。まあ長いですね。
こちらは三国境、小蓮華山方面の稜線でしょうか。また機会があれば白馬大池方面や栂海新道方面からも目指してみたいですね。
はい!山頂を後にして小屋で冷たいビールを買って、もう後はゴロっと横になってビールで乾杯です。
kindleで小説を読みながら、ノンビリとした時間を静かなテン場で過ごしました。
ちなみにこの日は寒さも予想してエクスペドのダウンマットにしたのですが、すでにオーバースペックでした。シュラフもナンガUDD380DXでは少し暑いくらいでした。半身外に出しながらいつの間にか眠りについてしまいました。
そしてこの時、ストックからスノーバスケットを外しておいたのが後から功を奏しました。
2日目に続きます。
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