御嶽山 | 噴火から5年、鎮魂の山に登ってきた
最終更新日 2023-12-05こんにちは、お盆を過ぎてグッと暑さが和らいできました。夜などは名古屋の中心部でも涼しさを感じる今日この頃です。それなのに少し夏バテ気味の私です(笑)
さて、つい先日も浅間山が前兆もなく噴火し非常に驚きました。被害が無かったことが幸いです。焼岳でも地震が続いているとのニュースを聞き、改めて日本列島には火山が多く存在しているということを再認識しています。そして、火山と言えば記憶も新しい御嶽山へ、7月最後の日曜日に登ってきたので記録を残しておこうと思います。
2014年9月27日の秋晴れのあの日、私は御嶽山から比較的近い場所で家族でキャンプをしていました。紅葉を楽しもうと御嶽山に向かわれた登山者を噴石や噴煙が襲い、58名の登山者が犠牲になり、今も行方不明者が残される山。その翌週には御嶽山を見ることの出来る山へ登り、手を合わせて来たことがつい先日のように思い起こされます。
それ以来入山規制が続いていた御嶽山ですが、昨年ごく短期間ですが山頂までの登山が可能となり、いよいよ今年(2019年)は7月1日から10月16日まで山頂部への入山が認められるまでになりました。依然として行方不明者がいるという状況の中、複雑な思いではありますが、やはり登らなければ何も見えてこないと思い行ってきました。
では本編です。
目次【お好きなところから】
黒沢口6合目駐車場からの御嶽山登山
深夜の高速道路を走るのは大好きです。遠くへ行くという現実からの逃避とでもいうのでしょうか、非日常の世界へ入っていく暗いトンネルを走っているような、それでいて怖いというのではなくワクワクしてくる時間と空間を独り占めにしているのがとても好きです。
名古屋から中央道を北上し、中津川インターを下りて下道をさらに進み、今回のスタート地点となる「黒沢口六合目駐車場」へ到着したのはすでに2時を過ぎた頃だったかと思います。
ここは御嶽山の6合目にあたるようで、標高はすでに1,810ⅿ。整備された平坦な駐車場には綺麗なトイレもあり、車は100台ほど駐車が可能なようです。到着した時は真っ暗でしたが、クネクネした山道を上がってきて疲れていたこともあり、すぐに座席を倒して寝て行きました。と言いたいところですが、実は山道を登っている最中に荷室に積んでいたキャンプ用の灯油が盛大にこぼれてしまったようで・・・灯油の臭いが充満した車内で殆ど眠ることが出来ないまま朝を迎えてしまいました・・・。
ボーっとしながら朝ごはんを食べ、気合を入れなおして車外に出たのは5時25分でした。写真に写る白い建物がトイレですね。
黒沢口6合目駐車場へはおんたけ交通バスでもアクセス可能
ちなみにこの「黒沢口6合目」までは木曽福島駅から中の湯行きで「おんたけ交通」の「御岳ロープウェイ線」として1日数本のバスが運行されているようです(季節運行)。下山してきた時にちょうどバスが到着していました。
雨上がりの蒸し暑さの中を登山開始
黒沢口駐車場を出発したのは5時30分。トイレの裏手からまずは整備された樹林帯の道を登ります。
出発してすぐ祠。日本三霊山というだけあり、仏像や祠などがいくつも登山道沿いに存在していました。
出発して30分で7合目に建つ「行場山荘」へ到着。ここから少し先へ歩いたところから御岳ロープウェイが開通しており、御嶽山登山の殆どはこのロープウェイで7合目まで来てから登山がスタートするとのことでした。
近づかない先行者の背を追い黙々と登り8合目へ
6時2分、この行場山荘を通過した時に少し先に女性のソロの方がいました。いつもならススっと追いつき先へ進むのですが、この時は距離が一向に縮まりません。「あれ?体が重いのかな?」と思いながらも、その女性の背中を負いながら黙々と登りました。
山荘から8合目小屋までのルートはよく整備されており大変歩きやすいのですが、この日はとにかく蒸し暑い。樹林帯の中で風が通りにくいこと、先行する女性のスピードが速いことにつられ、次第に汗が体中から噴き出してきていました。
そして、6時33分 8合目に当たる女人堂へ到着。普段それほどスピード登山などはしないのですが、女性の後を追いながらのこの区間はキツカッタです(笑)。女人堂という名称からもわかるように、以前はこの先は女人禁制とされていたのでしょうね。
8合目からの展望が素晴らしい
視界がパッと開ける8合目。一気に冷たい風が吹き始めました。さすがに疲れたので女人堂横のベンチに腰掛けて、持参した大福を頬張ってエネルギー補給です。以前はナッツ類を行動食のメインにしていたのですが、最近は大福かオニギリかお餅がお気に入りの行動食です。
しばらくすると全身を濡らした汗が冷えていきます。同時に吹く風とともに厚い雲間から青空がのぞき始めました。
真っ白だった山頂方面にも青空が。この日の天候はあまり期待していなかったのですが、わずかな希望をこの時は感じました。
約10分ほど休憩して8合目小屋 女人堂を出発し、いよいよ山頂部を目指します。雲が多くて分りにくいのですが、実は見事な雲海が広がっていました。
美しい斜面、美しい雲でした。天気が良ければさらに綺麗な景色を見ることが出来る場所なのでしょうね。
登山道沿いの至る所に石像や石碑。一つ一つが非常に大きく、これまで登った信仰の山の中でもひときわ際立つ規模のものでした。
大きな石像はどうやって運んだのでしょう・・・。
8合目から9合目までも非常に整備が行き届き、登りやすいことこの上ありません。ただし本当に登り一辺倒。
9合目から先は強風と濃いガスの中
一時は期待した青空はどこにいったのか?9合目付近まで来ると、その先は濃いガスの中に包まれて真っ白に。風も強く寒い。
8合目から9合目までちょうど40分。ここは休憩をとらずに先を急ぎます。とにかく寒かったのです。
実は全く知らなかったのですが、この日は「慰霊登山」の日だったとのこと。供養のための花束を持ち登る人々、取材のテレビクルーやアナウンサーも登られていました。
また、同じく信仰の山「霊山」として名高い白山などと同様に、白い装束を身にまとった一群と何度もすれ違い、とても印象的でした。この日はガスでかなり視界が悪かったのですが、真っ白なガスの中から装束の皆さんが現れた時は、何か異世界にいるようにも感じたりして、不思議な感覚に陥りました。
写真は噴火災害後に造られた緊急時用のシェルター。
山頂に近づくにつれて風がいよいよ強まり、ザックからジャケットを取り出して着込みました。
最後の階段を上ると山頂です。こちらには慰霊碑。しっかりと手を合わせてきました。
御嶽山登山に思う
忘れないために
午前7時54分、登り始めから2時間半(休憩込み)で御嶽山登頂です。
山頂には工事資材や工事小屋などが設置され、他の山の山頂とはかなり違った様相となっています。景観的にはどうかな?と思う面もありますが、それ以上に御嶽山噴火災害を決して忘れないというためにも、登ることが大切だと改めて感じました。
少し話が変わるかもしれませんが、先日も浅間山が「突然」噴火しました。登山の安全のためにというだけでなく、いまだ人間には理解できていない自然のありようなどを調べるために、技術やお金を注ぐことは大切なことなのではないかなと思っています。日本は地震大国、火山大国と言われるそうですが、尚更そのような自然科学分野に力を注いでもらいたいなと思ったりしました。
ちなみに、日本の3000m峰全登頂まであと2峰。聖岳と富士山を残すのみとなりました。まあ元々登山に記録的なものは求めていないので、登るかどうかはわかりません(笑)
しばらく山頂にとどまっていたのですが、一向にガスが切れる気配がなく、山頂から少し離れた二ノ池小屋へ立ち寄った後に下山することにしました。
二の池小屋の付近にはバラバラになった鳥居?らしきものが残っていました。
下山時にはロープウェイの始発から登り始めたらしき登山者が山頂を目指していました。
もちろんあの日の噴火のこと、今もなお行方不明者がいるという現実を忘れないということはもちろんですが、同時に改めて登ってみると、高所登山の楽しみを比較的手軽に楽しむことが出来、広々とした開放的な景観を楽しめるいい山であることを感じました。
まとめ
初めて登った御嶽山ですが、ポイント毎に山小屋が整備され、登山道も非常に歩きやすくなっていました。この日もご家族連れのハイカーの方がとても多かったのが印象的です。
同じ3000m峰の乗鞍岳と比べても、乗鞍よりも若干登りごたえがあり(6合目からの標高差は1200m程)、2時間強で登れるのである意味トレーニングには最適な感じでした。これからの時期は紅葉の登山も楽しみですが、御嶽山の紅葉は素晴らしいとのこと。機会があれば紅葉時期にも再訪したいと思いました。
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