【剱岳・早月尾根】標高差2200m、「試練と憧れ」剱岳へ灼熱の日帰り登山

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最終更新日 2023-12-05「一般登山者が登る山のうちでは危険度の最も高い山」とも言われ、登山者憧れの山の1つである剱岳

カニのタテバイ、ヨコバイなどが有名な別山尾根の他、様々なバリエーションルートも存在する剱岳ですが、今回は標高差2,200mという登り一辺倒の「早月尾根」を日帰りで楽しんできました。

意外にも岩場だけでなく高山植物も楽しめる道だということを知り、とても楽しい登山となりました。ただし、暑かった・・・2019年、真夏の早月尾根は灼熱の登山となりました。

剱岳・早月尾根ルートの記録を残しておこうと思います。

早月尾根・馬場島登山口までのアクセス・装備など

登山日は2019年8月4日。天候は晴れで午後から下り坂という予報でした。猛暑の中の2200ⅿの標高差・・・暑かったですね。

馬場島登山口までのアクセスと反省点

登山口となる馬場島までは車で乗り入れることが出来ます。

出発前に振り返って駐車場を撮影

東海自動車道から北陸自動車道を経由し、立山ICから県道46号、県道333号を走って馬場島へ至る。名古屋からは約3時間30分~4時間程度の道のり。

ナビでも出るので特に道に迷うようなことはありませんでしたが、登山当日は登山口手前となる馬場島荘の登山者駐車場は一杯。奇跡的に最後の一台に滑りこんで何とかなりましたが、それほど大きな駐車場ではないので注意が必要です。

馬場島荘宿泊やその前の野営場ではテント泊なども可能なため、車中泊も含め前泊前提で入る方がいいかなと思いました。私は午前2時ごろに到着したのですが、十分に仮眠が取れなかったため当日は眠かったですね。とにかく安全のためにも体調は万全に整えておくことが必要そうです。

ちなみに、屋外の公衆トイレが設置されておりとてもありがたいですね。

真夏の剱岳・早月尾根登山装備

基本的な安全装備(常備薬・ホイッスル・地図など)は当然として、日帰り早月尾根ということで、装備は極力軽量化したつもりです。

ザック(ワンダーラストイクイップメントのミューオンパックエクスペディション 250ℊ)、上下の雨具、ハイドレーション3L、カメラ一式、サコッシュ(asobitogear asobiポケット)などとシンプルに。ただ、おにぎり5個、パンやチョコなどの行動食類は豊富に持ち込みました。とにかく体力勝負だなと思ったので(笑)。最近の行動食のお気に入りはおにぎり一択です。

ちなみに剱岳の登山届は12月から5月15日までの間は義務化され、未提出の場合は罰則金も課せられます。東海地方のニュースでは年末年始に登山口に山岳遭難救助隊の方が立つというのが恒例として報道されます。もちろん積雪期に限らず、山に入る時には登山届は必ず出すようにしましょう。今は「コンパス」などの電子登山届が便利ですね。

では本編です。

標高差2200m、早月尾根で剱岳へ

本当はテント泊で山の様々な表情を楽しみながら登りたかったですし、そちらの方が好きなのですが、今年の夏は天候も自分自身の時間の確保も思うようにいきませんでした。

ということで、前から一度は行ってみたいと思っていた早月尾根ルートを選んだのは数日前。予習は一応していましたが、なにせ2,200mという標高差。「体力お化け」が使うルートなどとも言われていますから、若干緊張しながら当日を迎えたことを覚えています。

剱岳・早月尾根の基本情報

登山口となる馬場島荘の標高は735mとされています。剱岳は2,999m。その差は2,264m。実際にはアップダウンも若干ありますから標高差はさらに大きくなるのだろうと思います。

早月尾根ー剱岳 ルート図

ほぼ一直線。とにかくずっと登ります。精神的にしんどいですねこういうコースは。

早月尾根ー剱岳 標準コースタイム
剱岳・早月尾根
距離(往復) 14.5km
登り標準コースタイム 9時間10分
下り標準コースタイム 6時間20分
コースタイム合計(往復) 15時間30分

15時間30分とか長すぎますね・・・私は仮眠してたら出発が6時と遅れてしまい、そこから普通に計算すると21時30分までかかるという・・・遭難コースですね。もちろん休憩時間を含んでいません。

ポイント毎の目安となる標準コースタイムを記載しておきます。

6:00馬場島荘 -(1時間25分)-7:25展望台 -(1時間45分)-9:10 1613m地点 -(1時間5分)-10:15 1914m地点 -(15分)-10:30避難小屋跡 -(1時間10分)-11:40丸山 -(1時間30分)-13:10 2601m地点 -(2時間)-15:10剱岳 -(1時間30分)-16:40 2601m地点 -(1時間)-17:40丸山 -(45分)-18:25避難小屋跡 -(15分)-18:40 1914m地点 -(45分)-19:25 1613m地点 -(1時間10分)-20:35展望台 -(55分)-21:30馬場島荘

出だしから樹林帯の急登スタート

午前6時と言っても真夏ですから、出発時点ですでにジンワリ暑さを感じる中のスタートです。駐車場に停まっている車はすでに皆さん出発した後なのでしょう空っぽ。これはマズイと思って少し急ぎ気味に歩き始めました。

駐車場から野営場となっている場所を少し登り、綺麗な芝地の奥に現れる登山口。ちょっとわかりにくい。これ真っ暗闇だと迷いそうです。

有名な石碑「試練と憧れ」。まさにその通り、これからの長い行程が無事に終えられますようにと少し頭を下げました。

早月尾根コースは初めは長い樹林帯です。同じく剱岳へ向かう別山尾根コースは初めから岩場の連続ですが、全く様相が違いますね。地図上でも「急坂」とされている長い樹林帯の急登がジワジワきます。そしてとにかく暑い・・・。汗がダラダラ流れます。

まず初めのポイントは「展望台」とされている標高1047ⅿ地点。登山口からは標高差約300ⅿ。コースタイムで1時間25分。一つ目の試練ですね。出発の遅れを取り戻そうと、少しペースを上げて歩きました。ウォーミングアップにはちょうどいい急登です。

序盤ペース配分に悩む

なんて思いながら6時21分。突然平坦地に飛び出したと思ったら、どうやら展望台付近?。1時間25分のコースタイムでしたが、21分で到着しました。んんん?コースタイムが甘めなのか、ちょっとペースを上げ過ぎたのか、まだよくわかりません。

とにかく次の目的地「1600ⅿ」の道標地点まで同じようなペースを維持して歩いてみます。初めてのルートはペース配分が難しいですね。1時間45分のコースタイムです。

朝陽が差し込み始めました。緑が綺麗です。暑いけど。

巨大なブナ?があったり。

1200ⅿ。

なるほど。恐らく標高200ⅿごとに表示板が整備されているんですね。こういう長いルートの場合は目安になるのでとっても嬉しいですね。この時点で7時14分。大体いつもの自分のペースです。

7時24分。登山口から1時間24分で標高1600ⅿ地点に到着。前の地点から1時間4分。標準コースタイムは若干甘めに設定されていそうですね。スタートが遅れてかなりドキドキしていたのですがちょっとホッとしました。後は無理せず怪我せず歩きとおすことにして、若干ペースを落としました。

ここまで樹林帯なので展望はほぼありませんが、たまにこんな感じに遠くの様子も見渡せます。

突然平坦地。ここは「避難小屋跡」と言われる場所でしょう。時計は8時15分。早月小屋まではここからコースタイムで1時間10分。9時半前には到着出来そうです。

標高2000ⅿ。早月小屋まで1Km、もう少し。元気が出てきますね。

ちょっとした鎖場が出てきたりして。

見えた!剱岳 早月小屋に到着

見えた!早月小屋と剱岳。

時計は8時54分。出発から2時間54分で早月小屋に到着です。コースタイムだと5時間10分ほどかかるようなので、だいぶ遅れを取り戻せたようでホッとしました。正直、ここで11時を回っているようだったら、引き返そうかと思いながら登っていたので。

ここでこの日最初の補給。飴とかは舐めながら歩いていましたが、やっぱりまとまった固形物を食べないと長い距離はバテますからね。オニギリの中でも梅系が疲れた時でも食べやすいのでよく持っていきます。飲みものはとんでもない暑さで、持って行った3L分が無くなりそうな予感だったので、500円でしたが小屋でカルピスウォーターを購入しました。

ここで30分ほどの大休止としました。

早月小屋のテン場の様子

早月小屋のテン場はかなりフラットで整備されている感じでした。テントを固定するための大きな石もあまりなさそうで、ペグ持参が必須なように感じました。ここから山頂までのコースタイムは3時間30分。テン泊して日の出を山頂で迎えてみたいです。

早月尾根は花の道

早月小屋の標高は2200ⅿ。山頂までは残すところ800ⅿほどです。頑張りましょう。

しばらくは樹林帯の登山道が続きますが、下のそれとは違い、木々の高さが随分低くなり、その分太陽の熱を直接受けて暑さが増してきました。

しばらく登って振り返ると、早月小屋が天空の島に浮いているようでした。

2200ⅿの看板を越えた辺りから、少しずつ岩場、鎖が増え始めます。

まだまだ序の口ですね。

この時期最後に残るルート上の雪渓。人が通っているので大きさが分かるかと思いますが、50ⅿぐらいでしょうか。灼熱の中でもヒンヤリしてオアシスのようでした。

10時9分、2600ⅿ通過。

ようやく剱岳山頂方面がクッキリと見えてきました。

ふと周りを見渡すと、花が意外にも多いこと。当初のイメージには全くなかったのですが、早月小屋で販売されているTシャツには「早月尾根は花の道」とのロゴがありました。あまり花の名前には詳しくないのですが、やっぱり少し癒されますね。

高山に咲く花は強い紫外線を浴びて色彩が濃くなるんだというような話を聞いたことがあります。綺麗です。

このあたりから山頂から戻って来る登山者とのすれ違いが多くなりました。恐らく早月小屋で泊った方々なんでしょうね。

花を見ながら一歩ずつ。暑さは辛いですが、足も全く問題なく、気持ちよく歩けています。

左手には剱尾根?バリエーションルートですね。行くことはあるのかな・・・。

右手には立山方面なのかな??

結構ガレガレの登りが続きます。パラパラと石が落ちてきますし、登山者が落とした落石も頻繁。ヘルメットは絶対に必要です。

樹林帯は抜けて、岩場が連続して現れ始めます。浮石も所々ありましたけれども、比較的登りやすい。

山頂直下の岩場はこんな感じ

10時54分、標高2800ⅿ、山頂まであと距離で700ⅿの標識まで来ました。少しだけ平坦な休憩ポイントになっていて、多くの登山者が休憩していました。

山頂も随分近くなってきました。

こんな感じのルートを歩いて来たんですね。

さあここからがこの日のクライマックス。剱岳と言えば岩の殿堂。山頂直下の岩場が連続する地帯に入ってきました。

このあたりは雪がつくとナイフリッジになるのかな?ちょっと怖いでしょうね。

楽しそう。

振り返るとこんな感じ。浮かんでますね。

マーカーはしっかりあるので見失わないように気を付ければ大丈夫。

岩にへばりつきながら上へ。左手は切れています。

一枚岩。濡れていると嫌らしいですね。

鎖もしっかりありますが、足場も見た目以上にあるので大丈夫。

どこ歩くんだという感じですが、ここも大丈夫。マーカーがありがたい。

そしてとうとう、別山尾根との合流点が見えてきました。もう山頂は目の前。

別山尾根も険しいな。

剱岳山頂

見えた山頂。

お疲れさまでした。11時40分、標高2999ⅿ剱岳登頂です。登りにかかったのは5時間40分、コースタイムは8時間40分。

山頂に着いたらさすがに涼しいだろうと思いましたが、30℃以上あったかもしれません、熱風が吹いてました(笑)。

剱沢キャンプ場も見えています。

別山尾根にガスが湧き始めて綺麗。

少し雲が多く、夏場なので透明度もそれほどではないのですが、それでも360℃の大パノラマは圧巻です。

トンボが飛び交う山頂で腰を下ろして50分近くの大休止。オニギリ食べたり、持って行ったドーナツ食べたりしてノンビリしました。

次第にガスが湧き始め、早月尾根も半分ガスの中に。この日は夕方から雷雨があるかもしれないということで、本当はあまりノンビリもしてられないんですよね。登りが5時間40分でしたけれども、下りでも同じぐらいかかりそうなコースタイムですし。そんな中でもまだまだ登って来る方がいます。

雨と追いかけっこ~下山も慎重に

 

さあ下りましょう。さようなら剱岳、またきっと来ます。

下山こそ気を付けて。いつも下山時には慎重に慎重にと言い続けながら下ります。

これがカニのハサミ?有名なポイントがあるんですが、正直わかりませんでした・・・。

山頂にもガスがかかり始めました。夏山は午後から崩れ始めますし、何とか間に合って良かった。

ガスがかかってくれたおかげで日差しが弱まって快適。助かりました。

振り返ると山頂はまたガスが切れ。格好のいい山ですね剱岳は。

ガスに包まれそう。

こんな場所もありました。

大急ぎで早月小屋まで下ってきました。山頂から1時間30分ほど。小屋でペットボトルを2本、1000円分購入し、カップラーメンもいただきました。

小屋を出発したのは2時半頃でしたが、次第にガスに雨が混じるようになり、下りはかなり体力を消耗しました。階段状というか平坦ではないので時間もかかるし次第に膝に来るんですね。

ゴロゴロと雷が鳴り始め、近づいてくるような感じだったのでちょっと怖かった。

それでも何とか大崩れすることなく16時20分、登山口へ戻ってきました。

下りにかかったは3時間40分ほど。登り下りで9時間20分(休憩除く)という剱岳早月尾根の登山となりました。出発は遅れはしましたが、コースタイム比60%で往復することが出来、日没前に登山口に下りることが出来たのは本当に嬉しかったです。

剱岳・早月尾根日帰り登山のまとめ

歩き終わった後もうしばらく歩きたくないというルートもありますが、今回の早月尾根は季節も変えながらまた歩きたいと思いました。確かに一本道だし、ずっと登りだし、標高差もあるしというルートですが、個人的にはとっても楽しく登れる良ルートだなと感じました。

特に、意外にも花が楽しめた点、ルートも全体として歩きやすかったのですが、山頂直下の岩場の連続地帯は特に楽しく感じました。是非また歩きたい、今度は紅葉の時期などにと思っていましたが、2019年10月11日現在日本には巨大な台風が近づいてきており、今年はちょっと無理かなと諦めています。

登山カメラ装備

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今回も登山カメラにはOLYMPUSのマイクロフォーサーズ行ってきました。夏のこの時期の突然の雨などにもオリンパスの防塵防滴本体はとても安心して使えるのでありがたいですね。

 
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