雪いっぱい、厳冬期北八ヶ岳「天狗岳」を歩く
最終更新日 2023-12-05今年も北八ヶ岳の天狗岳に行ってきました。と言ってもすでに1か月半前の1月後半のこと。早く書いておかないと賞味期限切れになってしまうので、写真中心にアップしてみたいと思います。
八ヶ岳には南と北と二つの山域で分けられることが多いのですが、天狗岳は北八ヶ岳の一角。比較的なだらかな北八ヶ岳にあって、急登や岩場もあり、南八ヶ岳の山容にも似ると言われる山。でも、どこに似ているかどうかよりも、天狗岳は何となくいつも歩きたくなる山。個人的には色々と思い入れのある山なのです。そんな大好きな山を1人歩いてきました。
目次【お好きなところから】
厳冬期、北八ヶ岳天狗岳を歩く
昨年は怪我の影響でほとんど雪山を歩くことが出来ず、4月にようやく残雪期の天狗岳を歩くことが出来たのですが、季節外れの新雪と吹雪に苦しみ、東天狗往復のみとなってしまったため、何となくモヤモヤしていたのです。
唐沢鉱泉から反時計回りの周回コース
標高1870ⅿ、今回も唐沢鉱泉からの反時計周りの周回コースで歩くことにしました。静かで一番好きなコースです。
特にお気に入りは西天狗岳を正面に見ながらの西尾根の歩きなのですが、さて今回はどんな姿を見せてくれるでしょうか。
コースタイムは5時間弱。軽いトレッキング気分でスタートですが、後で結構ハードな歩きになることはまだ想像していませんでした。
深夜に名古屋を出発し、中央道から諏訪インターへ。そこから下道で唐沢鉱泉の無料駐車場へ向かいます。この時期、日の出前ということで唐沢鉱泉までの山道は全面凍結。途中スリップする車が立ち往生していて若干ロスしました。くれぐれもノーマルタイヤで突っ込んではいけません。
唐沢鉱泉では過去に車のカギを紛失したものが届けられたり、バッテリー上がりした車を救出してもらったりと、何かと縁がある宿。一度ちゃんとお礼を言いたいのですが、なかなかタイミングが合わずに行けていません。この日もまだまだ冬期休業中。今年こそはご挨拶に伺いたいと思っています。今シーズンは4月21日(土)から営業再開とのことです。
冬期トイレはほぼ使えません
ちなみに冬期は簡易トイレがありますが、ほぼ使えない状態になっているため、道中のコンビニなどで用を済ませてくる必要があります。そういう意味ではトイレも完備している渋の湯スタートの方が安心なのかもしれません。
夜明け前、雪の樹林帯
出発は夜明け前、雪の中、それほど風はありませんでしたが、深々と冷え込んでおり気温は-9℃ほどだったと思います。
数組が先行されているようです。唐沢鉱泉前にかけられた橋を渡ってスタートします。とても静かないつものいい雰囲気です。
スタートから積雪していますが、アイゼンは付けずにいきます。前日に降雪があり、フカフカの雪が気持ちが良かったです。
しばらくすると数組の先行者をパス。徐々に空が明るくなり始めました。
この日はZUIKOの広角レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」を持っていきました。
尾根歩き
しばらく樹林帯を歩き続けると、西尾根への分岐が現れます。この先も樹林帯が続きますが、尾根に出たので風が吹いて体感温度が下がります。雪山の寒さを感じながら静かに歩き続けます。雪はくるぶしぐらいまで。キュッキュツという音が気持ちいいです。
誰もいない道で日の出を受けながらノンビリ歩くのはとてもいいものです。急ぐ必要がない、ノンビリした雪山歩きが出来るので天狗岳は毎年歩きたくなるのでしょうかね。
空は少し白く濁っているのですが、キーンとした空気が非常に気持ちのいい朝でした。
第一展望台から西天狗岳をのぞむ
しばらく歩くとフッと視界が開け、目の前に西天狗岳は見えてきます。まだもう少し先であるのですが、気持ち的にはもう満足です。数名のトレースと動物の足跡があります。動物もこの展望の場所が好きなのでしょうか。
視界が開けた地点から少しだけ先へ進むと第一展望台の標識。
振り返ると雲海の向こうに北アルプスや中央アルプスかな?この時は風は少し弱くなっていましたが、寒さは厳しかったです。
しばし展望を楽しんだ後は西天狗岳を見ながら先へ進みます。少しずつ近づいてくる西天狗岳はその頂に向けて急登が続いていることが一目でわかります。頑張らねば。
トレースがあるようなないような。時折腰近くまで埋まりながらフワフワサラサラの雪の中を進みます。人気の山なのに珍しいです。
第二展望台の直前まで来ると、とうとうトレースが途絶えてしまいました。右側は崖になっており、新雪の積もるこの部分をピッケルとアイゼンを頼りに慎重に進みました。久しぶりに緊張しましたね。
第二展望台手前でトレース消える
西天狗岳第二展望台。緊張したトラバースを越え、すぐに第二展望台に到着。南八ヶ岳、奥には南アルプスも一望でき、まさに展望台です。トレースがなく新雪の積もった尾根歩きはなかなか難儀で、時折胸近くまで沈むような場所もありました。雪と格闘です。
動物の足跡が行先を教えてくれているようです。西天狗岳が目の前に大きくなってきました。
しかしここからが大変でした。胸したまで沈みこむようなラッセルが続きます。後続は誰も見えないため交代することも出来ず、一歩一歩に時間と体力を使いながら少しずつ前へ進みます。
山頂直下にとりつく
ラッセルから抜け出し、山頂直下へようやく到達。夏場ならゴツゴツした岩に〇や×で行く手が示されているのですが、全て雪に覆われています。どこを進んでもいいものの、ラッセルで奪われた体力を回復させながらユックリと。
新雪、あまり締まっていない雪ということもあり、アイゼンがあまり効かないので苦労しましたね。
救世主登場。後から登ってきた方と声を交わしてTOPを交代しながら先へ進みました。正直助かりました。その方、後からわかったのですが、知り合いでした(笑)それも前日にはメールでやり取りしていたばかり。でも下山するまで全く気が付きませんでした。
結構な急登なんですよね西天狗岳。
振り返ると次々と登ってきているのがわかります。歩いて来た道が一望できます。かなりしんどいですが、気持ちがいい一瞬です。
急登が終わり、少しなだらかな山頂へ続く道へと変わりました。西天狗岳山頂は目の前。待望の八ヶ岳ブルーの中を気持ちよく、一歩一歩歩きます。
西天狗岳山頂、八ヶ岳ブルー
お疲れさまでした。2646ⅿ、西天狗岳山頂に到着です。この写真、先ほど書いた知り合いに偶然撮ってもらった物。後でインスタに上げたところ、判明するという(笑)ちなみに私はその方の山頂での記念の写真を撮りましたよ。
西天狗岳山頂は360℃の展望が楽しめます。
動画でも撮影したのですが、記録をうっかり消してしまいました・・・。残念。雲海と八ヶ岳と北、南アルプスなど、圧巻の展望が楽しめました。前回登った時のモヤモヤが解消されましたね。
東天狗岳へ
ひとしきり展望を楽しんだ後は、もう一つのピークである東天狗岳へ向けて歩を進めます。山頂から一旦鞍部に下り、登り返しますが、モフモフの雪を一気に下りていくこの道と、ここから見る景色がとても好きで、いつも見惚れます。。
でも、ここでジッとしているわけにもいかないので(笑)行きます。
でも勿体なくて、少し下ったところでもう一度振り返ります(笑)少し頑張れば、こんな景色が見れるんですから、登山って面白いし魅力的だと思います。それにしても空が青い。
ちょうど東天狗からの登山者が上がってきます。ちょっとモデルになって撮らせてもらうことにしました。勝手にですが。単独行だと写真がどうしても風景一辺倒の単調なものになりがちなので、こういう偶然の登山者は大変ありがたいです。
すれ違い。お気をつけて。写真撮影を楽しみながらも、すぐ目の前に東天狗岳が近づいてきます。
山頂直下。雲の流れが速く、一気にガスることもあるのですが、少し雲がわいてくれた方が激しい自然の表情が伝わりやすいのかもしれませんね。雪面はカチカチに凍ってアイゼンがカチカチと刺さります。とっても好きな斜面。
東天狗岳山頂。
西天狗岳山頂にも人影が見えます。天狗岳は東天狗から登る人の方が圧倒的に多いので、ここからは人とのすれ違いになります。
特に記念撮影することもなく、下山に入ります。
黒百合ヒュッテへ
東天狗岳から黒百合ヒュッテへの下りは岩と雪のミックスに近くなっており、アイゼンの歯を引っかけないように注意しながら下りました。特にピッケルでないと不安というような個所はなく、一か所苦手な急斜面の下りもしっかりとしたステップが切られていて難なくクリアできました。ありがたい。
振り返ります。
下りは早く、あっという間に天狗の裏庭の付近に到着。東天狗岳と西天狗岳。こんなにクッキリと見えたのは3~4年ぶりかもしれません。
ここまで来るとフッと気持ちが落ち着きます。総じて危険な個所はない天狗岳ですが、やはり登山は何があるかわからないことから、常に気を張っています。山小屋というのは本当にありがたいですね。
雪少ないですね。ヒュッテ前も雪少なめで、壁はありませんでした。
入り口に取り付けられた気温計を見てみると、何と10℃近くありました!春の陽気です。アイゼン、ピッケル、オーバーグローブを外し、小屋で休憩です。
カレーうどんとおでんにしました。立ち上る湯気が幸せです。窓際の席に座り、明るい日差しを受けながら、外の様子を見ながらノンビリと熱い料理をいただけるのは至高ですね。一気に疲れもとれてしまいます。
30分以上の大休止をし、唐沢鉱泉へ向けて走って帰りました。トレランは自分には無理だと思っていますが、下山は基本駆け足程度のスピードで移動しています。山で走ることに慣れておこうと、何となくいつも思っていたりします。
無事に落とし物もせず、車もエンストせず(笑)唐沢鉱泉へ到着。夕方までには帰る約束をしていたのですが、温泉だけはパッと入って名古屋へ戻りました。
終始青空と好天に恵まれた一年ぶりの天狗岳。とてもいい山歩きとなりました。
厳冬期北八ヶ岳天狗岳周回 総評
全般的に危険個所はなし。ただし、天候や状況によって激変する。アイゼン、ピッケル、防寒装備などは当然必要。雪崩の危険などは比較的少ないものの、注意して素早く行動が必要な個所はあり。
天狗岳が初めての方は今回のコースではなく、黒百合ヒュッテを起点とした周回から始める方が取っつきやすいと思われます。
詳しくはこちらの書籍が参考になります。
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