【涸沢雪中テント泊】最後の紅葉と新雪の涸沢 / 新月の凄まじい星空に圧倒される
最終更新日 2023-12-052020年10月16日~17日、涸沢カールへ行ってきました。ちょうど新月(正確には17日)と重なったので夜は天然プラネタリウムと星明りに照らされた穂高の山々が物凄い迫力でした。初雪による積雪涸沢ハイキングの様子を紹介します。
目次【お好きなところから】
コロナ禍の2020年、最初で最後の涸沢になった
北アルプスの玄関口である上高地から歩くこと5時間。今年も涸沢へ行ってきました。
涸沢(からさわ)と言えば北アルプス、穂高岳の登山基地として登山者であれば一度は訪れたいと願う場所。私も年に数回は訪問することが常ですが、2020年はコロナ禍によって機会を得ることが出来ず、涸沢ヒュッテなどの小屋締めを翌週に控えた10月中旬にようやく訪れることが出来ました。
2020年は山の様相も随分と変わりました。密を避けるために山小屋・テント場の多くが事前完全予約制に移行したことで、天気を見ながら狙った山域へ急遽向かうということがとても難しくなりました。その中でも涸沢のテント場は事前予約制を採用しなかったこともあり紅葉時期などは空前のテント泊利用だったようです。予約争奪戦からもれた登山者が飛び込みで行ける場所へ集中するのは当然といえば当然なこと。以前から登山者が集中する時期のトイレ渋滞やごみ問題などが発生していた涸沢ですが今年はどうだったのでしょう。
今回はチャンスがあれば涸沢を起点にして北穂高~涸沢岳縦走、涸沢で2泊して翌日に奥穂高~吊尾根~前穂高を歩いて岳沢、上高地へ下りる2泊3日の穂高満喫ノンビリ登山を計画していました。すでに紅葉もピークアウトしていたので終わり掛けの紅葉を眺めながら、縦走は寒さとの闘いだなと思っていたのですが、冬型の気圧配置が強まってその日穂高は真っ白に。雪の予想はしていたのですが、思っていた以上の積雪を前にして計画はスッパリと諦めて初雪の涸沢テント泊ハイキングへと変更。ノンビリと2020年最後の涸沢を楽しんできました。
では本編です。
雨の上高地から雪の涸沢へ
雪が降る、それもまとまった積雪になるかもしれないという予報を確認しながら最後の最後まで向かう山域を悩んでいた登山前日。根雪でない表層の雪で穂高の山を歩くのは避けたいなと思いつつ、同じく小屋締め直前の五竜岳や白馬岳などの後立山方面、比較的天候の崩れが少なそうな北陸の山なども選択に入れて考える出発前日。山は事前の準備や計画から楽しみが始まってることを改めて実感します。
最終的には「涸沢止まり」でもいいと決断して沢渡からバスに乗って上高地へ。思い返せば今年まともに歩けたのは新穂高からの黒部五郎岳ぐらいのもの。2020年消化不良の山歩きだけに思いきり歩きたいという思いはありながら、今年も一度は涸沢へ行きたいと思ったんですね。涸沢には不思議な魅力があると思うのです。
沢渡駐車場ですでに雨
中央道から長野道へ入り、下道を走って沢渡へ着いた時にはすでに雨が降り始めていました。
平日、さらに雨だというのにバスターミナルの第一駐車場はほぼ満車。海外からの観光客が減っただろうと思われる2020年ですが、上高地は相変わらず人気ですね。バス乗車券往復2300円を支払って上高地行きのバスへ乗ります。
雨の登山は傘が最強!
雨の朝の上高地にはまだ人出は疎ら。雨の上高地を出発するのは昨年に続いての事となりました。今回は傘を差しながら歩き始めました。
モンベルの「ロングテイルトレッキングアンブレラ」です。名前の通り背中側が少し伸びてザックを覆うようになった軽量折りたたみ傘。雨の中の長時間の歩きとなることが予想されたため、レインウェアによる蒸れを嫌ってこちらにしましたが大正解でした。雨には傘が山でも最強です。もちろん風などが弱いことが前提ですが。
Amazonでモンベルの折りたたみ傘の取り扱いが始まった?ようですが、その価格はなぜこんなに高価なのか不明です。サイズや価格はモンベルの公式サイトをご覧ください(笑)。
結局、上高地から涸沢まで傘をさしたまま歩きました。雨・雪で若干濡れることはありましたが全身が蒸れで濡れるということは無かったのでやはり快適でしたね。
雨の上高地から雪の涸沢へ
上高地雨率が実は結構高いんですね・・・。しかし雨の上高地からの歩きはなかなか美しい。
紅葉は確かに最盛期を過ぎてはいるもののまだまだ目を楽しませてくれます。梓川沿いにわずかに登りながらの長い林道区間に静かな彩りを与えてくれる雨と紅葉。
雨は山の上ではすでに雪へ変わり始め白く染め始めていました。気温もかなり下がってきて歩いていないと寒さが身に染みます。
横尾大橋を渡っていく頃には雨もかなり強くなっていました。皆さん口々に「小屋にしよう!」と。テント泊を予定していた方も多かったんでしょうね。
僅かに残る紅葉が雨に濡れて艶やか。
本谷橋を越えて標高を上げ始めたあたりから赤や黄色の彩りが目の前から無くなっていきました。雨にみぞれが混じるようになり、すぐに雪へと変わります。
Sガレを過ぎたあたりからは真っ白な世界へ。
登山道上もいよいよツルツル滑ります。登りはまだいいですが翌日は凍結必死。登りながら少し不安を感じたのはジーンズや運動靴で登っていた方が少なからずいらっしゃったこと。涸沢は比較的軽装で行けるイメージを持っている方が多いようですが、9月に入ればいつ雪が降って登山道が一変してもおかしくありません。やはりその時期、その山域に応じた登山装備が必要なエリアです。
テント籠り生活
昼過ぎに涸沢到着。写真のようにすでに一面真っ白です。石組みに覆われた平坦な場所に積もった雪を踏みしめて設営場所を確保します。場所はトイレへの動線に適した通路脇。雪が降り続けているので外でノンビリ撮影というわけにはいかないのでテントに籠らないといけませんしね。
テントはいつものファイントラックカミナドーム1。あっという間に地面との隙間が雪で埋まっていくほどの強めの降りでした。
こんな雪でも小屋がやっていてくれるのはやっぱりありがたいことです。お金とプラティパスを持ってまずは売店へ。去年はすでに小屋締めに入っていて利用できませんでしたが、今年は間に合いました。
おでんと日本酒熱燗をいただきます!テーブルが濡れているのは雪が吹き込んでくるから。この時点で氷点下5度?ぐらいだったとか。隣り合った人同士「寒いですね!」と震えながら食べましたね(笑)。
売店裏には水道の蛇口が並んでいます。誰でも水を自由に汲めるのはありがたい!。長いシンクもありますが、間違っても歯磨きで歯磨き粉は使わないように。
水を抱えてテントに戻ってからはシュラフに入ってゴロゴロ・・・いつの間にか寝ていました。シュラフはナンガUDD380DX。シュラフカバーを忘れてしまったのですが、一泊なら撥水ダウンが頑張ってくれるはず。
目が覚めたらお腹が空きました(笑)。今回はパスタとスープ、鶏肉の燻製です。
ちなみにシューズは雪を見越してスポルティバのとランゴタワーGTXにしておきました。冬靴ではありませんがこの時期のこの程度の雪であればまだ対応できます。夏靴で登ってきた方も結構見ましたがさすがに冷えて辛いという声が聞こえてきていました。この時期の靴の選択は難しいですね・・・。
この色味がとても気に入っています(笑)
モゾモゾとテントの中で食事をとっていると何やら外が少し明るくなってきました。外に出てみると・・・雪がやんでくれています。
前穂高方面も。その後はまたすぐにガスの中に沈んでしまいましたがとても幻想的な一瞬でした。食事をとり景色も一瞬見れたのでもう眠りにつくだけ・・・6時前にはウトウトし始めて、時折まわりの声で目を覚ましながらも7時頃には深い眠りに。
新月の涸沢の星空は凄かった!
新月の夜、星明りに照らされた穂高に見とれる
深夜目を覚ますとヒッソリとして風の音も聞こえません。氷ついてガチガチになったテントのファスナーを開けて外に頭を出すと真っ暗な空に無数の煌めき。雲一つない新月の夜空に新雪の積もった穂高の山並みが星明りに照らされて輝いています。急いでカメラを持ってシャッターを押しました。
何枚撮っても飽きない圧倒的な星空。寒さも忘れて見とれていました。レンズはLEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH. H-X1025。マイクロフォーサーズレンズとしては巨大で重いのですが、こんな時に力を発揮してくれます。よく写ってくれるだけでなく何となく雰囲気にある写真になってくれるのはライカ監修レンズだから?
モルゲンロート
テントに戻って冷え切った体をシュラフの中で温めながら朝の景色に期待が高まっていました。
次に目を覚ましたのは午前5時前。テントの内側は凍っていました。
外は薄っすら明るくなっています。涸沢小屋にもテントにも灯が入って美しい時間。
常念岳方面、日の出の方角はすでに明るくなってきました。
厳しい寒さを乗り切ったテント達。午前5時58分、山が一瞬赤く燃えました。久々に見る事が出来た穂高のモルゲンロート。わずか1分ほどの幻想的な時間に満足。
GoProでタイムラプス撮影しました。
6時半前にはすっかり明るく。残念ながらチェーンアイゼンしか持ってきていなかったので上高地へ戻ります。それにしても美しい・・・。
お楽しみはまた来年に~名残惜しいけれども下山へ
新しいザック、山と道ONE。非常に使いやすかったです。雪山テント泊1泊分なら容量は十分過ぎるぐらいあります。
涸沢から少しずつ遠ざかる。宿題は来年また。
雪の世界から紅葉の世界へ逆戻り。
遠くの白い山を見上げながら本谷橋は秋の最後の暖かい日差しに包まれていました。
いつも思うのは横尾大橋を渡り切ると下界へ戻ってきた感覚に襲われること。
上高地までの約2時間。梓川沿いの美しい景色に見とれながら帰路に着きました。
さて、予定では穂高縦走して2泊3日で名古屋へ帰る予定でした。雪で行く手を阻まれて1泊2日に変更となってしまいましたが日程が余っています。ということで急遽北の山域へ向かうことに。
続きます。
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