爺ケ岳・鹿島槍ヶ岳・針ノ木岳テント泊縦走|扇沢反時計周りルート【DAY1】

Pocket

最終更新日 2023-12-0510月の3連休、前半は台風25号の通過に伴い暴風が吹き荒れた山域もあったようですが、中部山岳方面では中日の夕刻あたりからは急速に回復したようですね。Instagramなどを通して発信される紅葉に彩られた山々を目にすると、羨ましさで一杯になりながらも、早くも雪の便りを待ちわびる気持ちにも。

そんな初冬を迎えようとしている山の世界ですが、今日書き残しておくのは猛暑の中の8月の登山のこと。季節外れではありますが、記録して残しておきたいと思います。

今回向かったのは?

日時2018.8.18-19
山域後立山連峰(北アルプス)
山名爺ケ岳(300名山)、鹿島槍ヶ岳(百名山)、針ノ木岳(200名山)
コース扇沢から反時計周りに縦走
山行スタイル単独テント泊縦走

初めての山域、事前にコース状況・タイムを調べ、プリントアウト

後立山連峰の山々はロープウェイを使いオールシーズン楽しめる八方池や唐松岳など、麓の白馬村も含めて登山やキャンプでよく訪れているのですが、南部の山々は今回が初めての訪問となりました。

今回は後立山連峰の盟主とされる鹿島槍ヶ岳を中心に、爺が岳、針ノ木岳なども1泊2日で一気に回ってしまおうという欲張りコースとなっています。初めての山域だけに天気はもちろんのこと、コース状況やコースタイムなどを事前にしっかり調べておきます。調べる時には「ヤマプラ」が便利。プリントアウトした地図に手書きで区間毎のコースタイムを入れて持参するようにしています。

どんなメジャーなルートであろうとも販売されている詳細地図、コースタイムなどを書き加える簡易地図、デジタル地図など3種を持って行っています。その都度コースやタイム、体調を確認しながら進むことが安全登山のためにも大切だと思います。

今回のルート・コースタイム概要

【初日】柏原新道入口(80分)→ケルン(150分)→種池山荘(57分)→爺が岳中峰(60分)→冷乗越(10分)→冷池山荘(80分)→布引山(50分)→鹿島槍ヶ岳南峰(30分)→北峰(30分)→南峰(40分)→布引山(50分)→冷池山荘
計13.8km 10時間32分

【2日目】冷池山荘(10分)→冷乗越(122分)→種池山荘(150分)→新越乗越(60分)→鳴沢岳(60分)→赤沢岳(105分)→スバリ岳(60分)→針ノ木岳(40分)→針ノ木峠小屋(120分)→大沢小屋(60分)→扇沢(15分)→柏原新道入口
計18.5km 13時間22分
2日間合計32.3km 23時間54分

今回のポイントは2日目

扇沢駅近くの登山口となる柏原新道入り口から3つの峰を網羅して歩こうと思うと、反時計周りに周回する大体こんなコースになるかと思います。累積標高差は3361mと結構あります。特に2日目が長い・・・。初日の内に鹿島槍を登り種池山荘まで戻ってしまうということも考えられるのですが、絶景ポイントとして名高い冷池山荘のテン場から剱岳へ落ちる夕陽を見たかった・・・。今回のコースの肝はここになります。ということで、あえて2日目は厳しく行きます(笑)

爺ケ岳・鹿島槍ヶ岳、剱岳を眺めながらの気持ちのいい登り

出発したのは前日の夕方。仕事を終えたままそのまま高速に乗って中央道を北へ北へ。下道を下りてから買い出しを済ませ、柏原新道登山口近くの登山者無料駐車場へ到着したのは午後22時頃だったかと思います。天気予報ではこの日の夜は寒気が入り込み、山沿いでは冷え込むという予報。8月のお盆過ぎとはいえ、確かに外に出ると息が白くなっていました。そして満天の星・・・。翌朝の天気は期待できそうです。すぐにシートを倒して寝ていきました。

登山者用駐車場扇沢へ続く道路沿いには所々に登山者用の無料駐車場があります。扇沢にも停められますが、かなりの料金がかかるので、早めに無料駐車場へ入れるのがベスト。道幅は広く、よく整備された舗装道ですが、大型のバスが引っ切り無しに通ります。路肩駐車は避けた方がいいですね。

柏原新道、午前3時半過ぎスタート

3時前にセットしたアラームの音で目覚めると、まだ外は真っ暗。用意していた朝食を詰め込んで、早速出発準備です。すでに暗闇の斜面にヘッドライトの明かりが動き始めていました。この日の予定は休憩無しで10時間超の行動時間。早出をしないと間に合いません。

出発は3時半過ぎ。柏原新道登山口近くには登山届のポストと用紙も準備してありました。すぐにジグザグの急登が始まります。ヘッドライトの明かりを頼りにユックリ登ります。この日の装備は11kgほど。そのうち3kg超は水です。暑さ対策の水ですが、予想以上の冷え込みです。水は多すぎたかもしれません。手が冷たい。

暫く登ると、左手に翌日登る針ノ木岳、そのずっと下に扇沢駅が見えます。

遠くからでも次々と登山口に向かう登山者の姿がよく見えました。柏原新道は噂通りとても登りやすい整備された登山道です。登山口からとりあえずの目的地である種池山荘までの標高差はおよそ1000m。数人の登山者をパスしながら快適に登ります。

基本は樹林帯の中ですが、チラチラと左手に針ノ木岳。朝陽を浴びてオレンジ色に輝く山肌が美しかったですよ。

種池山荘から爺ケ岳へ

途中危険個所のような場所は特になく、休憩なしに6時15分に種池山荘に到着。稜線に出た途端に汗が冷えて寒い!実はこの日は霜柱が降りたようで、稜線の登山道は歩くたびにザクザクと音がしました。

出だしは好調です。特に疲れもなく、ここで少し食事休憩を取ることに。山荘前のベンチに腰かけてオニギリを食べていると、山荘泊の方々が次々出発していきます。その賑やかさにつられたのか、目の前の草むらから小さな黒い動物がピョコピョコ飛び出してくるのが見えました。オコジョです。写真に撮る前に草むらに飛び込んでしまったのですが、初めて見れて嬉しかったですね。

山荘からは遠く富士山が見えました。

10分ほど休憩し出発です。まずは爺が岳へ向かいます。爺が岳は山荘側から南峰、中峰、北峰と三峰からなっています。写真の手前すぐ近くに見えるのが南峰ですね。

小屋を出てすぐ、登山道脇が朝陽に光っています。近寄るとチングルマの群生が左右に広がっていました。

花言葉は「可憐」だそうですが、まさにと言ったところですね。

小石が敷き詰められたようなジグザグの登山道をモクモクと登ります。傾斜は緩やかなんですが、近いはずの爺が岳になかなか着かないので気持ち的に疲れました。ふと振り返ると、もといた種池山荘のオレンジの屋根、その奥には剱岳。存在感は抜群です。

しばらく立ち止まって見入ってしまいました。次々と下山してくる登山者の方もいて、人気の山域ですね。

さあ向かいます。この辺りでは風が吹いて寒かった。思わず上着を着込みましたが、凍える寒さでした。

フロウラップは冬期の登り始めなど、ハードシェルを着込むには熱が籠り過ぎるような時にも便利です。稜線に出ればその上からハードシェル。

7時15分、爺ケ岳南峰(2660m)登頂、まずは本日一座目です。

山頂は大賑わい。ここで記念撮影をする人が多かったですが、中央峰は中峰と呼ばれる次のピークになります。長居せずにそちらに進みます。一度下り、峰と峰をつなぐトラバース道を中峰へ向かいます。

振り返って南峰です。爺ケ岳というからもう少し穏やかな山かと思いましたが、案外山らしい形をしていますね。

程なくして中峰登頂。最近の表記では2,670mとなっているようですね。こちらは人はほとんどいませんでした。

麓の町まで一望出来ていい景色です。中央に見えるのは富士山ですね。

さあ、再びトラバース道へ下りて続いては冷池山荘を目指します。本日の宿は冷池山荘のテン場。もうすぐザックを下ろせるかと思うとウキウキしてきます(笑)

目の前に見えて来たのが鹿島槍ヶ岳、崩落地のすぐ傍に立っているのが冷池山荘。際どいところに建っていますね。もうここまでくればすぐです。ただし、テント場は小屋の少し上に写っている場所。15分ほど登る必要があります。

爺ケ岳と鹿島槍に挟まれた冷乗越付近は背の低いハイマツと細かい石屑ばかりの登山道でした。とても風が強いのでしょうね。2色のジグザグの模様がとても綺麗でしたよ。

冷池山荘到着、本日の宿営地はさらにこの上

8時20分、出発してから4時間50分で冷池山荘到着です。予定よりも1時間ほど早く到着できました。テント場の受付番号は3番。いい場所に張れそうです。

冷池山荘テント場40張り可  1人700円
2400m、目の前に剱岳が見え景色は最高だが、トイレはなし。使用の際は小屋まで往復が必要。

受付を済ませ、テント場へ向かいます。これが結構急なんですね。トイレの度にここを往復しないといけないかと思うとちょっと気が重くなりますが、景色のために我慢しましょう(笑)

ちなみに振り返るとこんな感じですよ。山荘崩れそうですね。大丈夫?ここから見ると爺ケ岳が三峰からなっているのがよくわかりますね。陽が高くなり、暑さがジリジリと堪えて来る中、ひいコラ言いながら登っています(笑)

無事に一等地ゲットです。目の前に剱岳。通路横なので近くに張られることもなさそうです。いや、物凄い時は張られますけどね。それにしてもいい天気です。

手持ちの食料を食べ、テント内を設営していたらつい眠くなってしまい、気が付いたら寝ていました。1時間以上。ハッと目を覚ましたら10時過ぎ。気持ちよかったですけど、寝てる場合じゃありません。鹿島槍へ行ってきます。ホントはここでビールでも飲んで寝ていたいですが・・・。もう少しの辛抱!

鹿島槍ヶ岳南峰・北峰へ

テン場に到着した途端に寝たりすると高山病が出やすいと言われています。眠ると呼吸が浅くなり、酸素飽和度が低くなるからなんでしょうかね?ただ、この日は快調でした。最大の敵は暑さでしたね。

テン場の北側のハイマツ帯を通り抜けるとすぐ目の前に前衛峰となる布引山、その奥に鹿島槍ヶ岳が見えます。鹿島槍ヶ岳は双耳峰。二つの峰からなる頂の姿が耳みたいに見えるからですよね。今回はどちらも歩こうと思っています。

まずは布引山を目指します。

ハイマツの道を進みます。まるで西穂丸山みたいです。このあたりはホワイトアウトすると分からなくなりそう…

布引山2683m登頂です。考えてみるとさっきの爺ケ岳よりも高いんですね。

布引山から鹿島槍ヶ岳まではすぐです。目の前ですね。見ても危険個所は無さそうですね。もちろん山は油断大敵ですが、この山は名前の響きの割には穏やかな山だなと感じます。

ガレガレの登山道、白い石が太陽の光に眩しい。目をまともに開けられません。暑かった。それでも一歩一歩進みます。

お疲れさまでした。鹿島槍ヶ岳南峰(2889m)登頂です。お疲れさまでした。テン場からは1時間30分弱でした。後に見えるのが剱岳。近いですね。大展望です。

こちらは歩いてきて道ですね。奥に見えるのは槍ヶ岳ですかね。

白馬までつながる稜線です。ここは・・・今週末か、来年か。そのうち歩きたいと思っています。まずは下見ということで、この先の鹿島槍ヶ岳北峰まで行ってみます。往復1時間ほど。ここから先は若干岩場です。途中止まってしまった人もいましたので、無理は禁物だと思います。ただ、普通に歩けば大丈夫。

ヘルメット着用推奨です。この数日前にも転倒して怪我をした人がいたそうです。

この辺りはちょっと嫌らしかったですね。ステップもしっかりあるんですが、ザレていて滑ります。慎重に。

振り返るとそう危なそうでもない。両側が切れているので、精神的にですね。登りは問題ありませんでした。

鹿島槍南峰に沢山の人がいるのが見えます。剱岳もカッコいい。このあたりから朝陽を見ると綺麗でしょうね。

はい、鹿島槍ヶ岳北峰(2842m)登頂です。ここから下をのぞき込むと、八峰キレット小屋がよく見えました。ここに到着したのが12時20分。五竜山荘まではコースタイムで6時間30分ほど。テント設営と昼寝で1時間半ロスしているとして、コースタイムの8割ぐらいで歩けば、柏原を出発してその日のうちに五竜のテン場を確保出来るかもしれませんね・・・妄想です。そうすると上手く歩けば1泊2日で栂池・・・妄想垂れ流しです。体力作りを頑張らねばいけません。

鹿島槍ヶ岳の名前の由来はあの「槍ヶ岳」からきていることは想像に難くないのですが、元々この地域にあった集落名「鹿島」の地にある槍ヶ岳のような尖った山ということで、大正時代に「鹿島槍ヶ岳」と名付けられたそうですよ。その前は後立山(ごりゅうざん)と呼ばれていたとか。ちなみに、2018年になり、鹿島槍ヶ岳の北東斜面にあるカクネ里雪渓が日本で4例目の氷河であると認定されたそうです。他の氷河は剱岳付近ですから、国内で発見された氷河の全てがこの周辺に集まっているのですね。

この時を待っていた!登山の楽しみと言えば

テン場でのお楽しみ!最高の瞬間

鹿島槍ヶ岳からテン場へ戻る道中、もう頭の中はあの事だらけ、急げ、急げ!怪我無く急げ!

真面目な話、山頂写真の次に撮った写真はこのビールでした。思わず500を注文。高くても飲んじゃいますよね。この日は本当に暑かったので最高の気分でしたよ。そしてビールにはやっぱりカレー(笑)え?おでん?両方とも食べたかったんですけどね。カレーだけにしておきました。

1000円だったかな??なかなか美味しいカレーでした。山荘前のベンチに座って食べていると、次々と登山者のパーティーが到着。「美味しそう~」「ビール飲みたい!」という声が聞こえてきて、しまいには写真まで撮られてしまい、さすがに恥ずかしかったです。これからはちょっと人気のないところで食べねばなりません(笑)。

テン場に戻ってみると随分テントが増えていました。最終的にはスペースギリギリに張りつくされていました。時間は15時。まだ日差しが強く暑い。風が殆ど無かったのですが、まあ強風が吹き荒れるよりはマシです。雲もちょうどいいぐらいにあり、夕刻が期待できそうです。

そしてまたビール!トイレが遠かろうが何だろうが、飲まずにはいられません。

テントの中でゴロゴロしながらkindleで読書をしたり、翌日の行程確認をしたり。翌日は長いので3時には出発したいところです。2時過ぎには起きて、食事を食べてテントを畳み・・・そう思うと何時に寝ないといけない?そんなことを色々考えていました。一人の登山は自分ひとりの思いで動けるのですが、気持ちを維持するのも自分ひとり。明日はもっと素晴らしい景色に会えるかもしれない。そんな思いを高めながら時間を過ごしました。

皆さん思い思いに時を過ごします。途中ガスに包まれて真っ白な世界になることも何度もありつつ、その時を迎えました。

剱岳へ落ちる夕陽、トワイライトタイム

目の前の剱岳に太陽が沈もうとしています。谷には雲海。少し雲が厚いですが、文句は言えません。山荘からも登山者が上がってきて、歓声が上がり始めました。

風がとても強く、強風にガスが吹き上げられます。その向こうにどっしりとした剱岳。太陽の光を受けなくなった岩肌は真っ黒に変わっています。オレンジの光が眩しい。

爺ケ岳山頂も喜びに沸いていることでしょう。

そして日没後、暫く空が赤く燃えていました。

久しぶりの美しい夕陽でした。不気味なほどの色を見せたのは昨年の前穂奥穂縦走の時に見た夕陽。いつ見ても美しいですね。

素晴らしい時間の後は暗闇が迫る中で急いで食事。翌日に備えて出来るだけ食料を食べ、少しでも装備を軽くします。疲れているはずなのになかなか眠ることが出来ず、20時前にようやく寝入ったようです。

パタパタというテントが風にはためく音で目が覚めたのは2時過ぎ。予定よりも少し早いですが起きだしました。空には満天の星。長い一日の始まりです。

爺ケ岳・鹿島槍ヶ岳・針ノ木岳テント泊縦走|扇沢反時計周りルート【DAY2】
今回のメインとなる針ノ木岳までの6座を巡る縦走のスタートです。

続きます。

おまけ

インスタでは一足先にアップしたスライド(別サイトへ飛びます)

https://gopro.com/v/ELrK0yww2ZQP

初日の様子を1分でまとめました。写真のみですが。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でみーパパをフォローしよう!

Pocket

こんな記事も書いています

  1. この記事へのコメントはありません。