北岳

南アルプス、3000m天空の稜線を歩く。北岳、間ノ岳、農鳥岳①

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最終更新日 2021-12-19


「富士山の次に高い山、2位に登頂!」
2017年7月23日~24日、南アルプスの北岳、間ノ岳、農鳥岳を歩いてきた。
合わせて「白峰三山」と呼ばれ、今年の夏山の一つの目標だった。


初日は風雨の中での試練の登りとなった。
そんな山もまた良き記憶の一つに。

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北岳は標高3193メートル。富士山に次ぐ日本第2位の高峰で、もちろん南アルプスの最高峰となる。
さらに、その南に聳える間ノ岳は最近の測量で標高が上がり、日本第3位の高峰の名を奥穂高岳と分け合う事になった。
今回はこの2座に加え、西農鳥岳、農鳥岳という3000m峰を縦走する1泊2日のテント泊山行となる。
実は、甲斐駒、千丈、鳳凰など過去の南アルプス山行はほぼ全てガスで真っ白。
どうも南アルプスとの相性が悪い。
それでも、雲間から眺めた白峰三山の圧倒的な存在感は頭から離れず、今回の山行を実現することが出来てとても嬉しい。

アクセスは決して良くはないけれど

南アルプスへのアクセスは北と比べると決して楽とは言えない。
白峰三山に限らず、登山口へはバスで行くなどしかない場合も多く、今回は山梨県の奈良田温泉から登山バスに乗って広河原の登山口へ向かうことにした。一手間が必要だ。
ただし、その分比較的静かな山歩きが楽しめるということも感じる。
アクセスの良し悪しは一概には言えない。
しかし、名古屋からは遠かった。
土曜日の夜、遅めの時間に名古屋を出発。
新東名を走り、一般道を北進するも、この道も長くクネクネ曲がっている。
真っ暗な県道南アルプス公園線は、時折大小の獣の横切る姿がライトに照らされ、恐る恐る進んだ。
登山バスの始発駅となる奈良田温泉の無料駐車場へ着いたのはバス始発まで2時間ほど前。
とにかく目をつぶって疲れを取ろうとするものの、あっという間に始発時間となってしまった。

無料駐車場はかなり広く、数か所にある。バス始発地点にはトイレもある。

始発時間まで30分前ほどに起きだす。
食欲はないものの、とにかく何かを食べなければ登れないと、途中のコンビニで買ってきたオニギリを口の中に押し込みながら支度を急ぐ。すでにバスが始発時間を待って停まっているのがわかる。時間は午前5時。
急がないと。
今回のザックはテント泊装備で約9㎏ほど。登山靴は先日書いたスポルティバのシンセシスを試すことにした。

2017/08/16
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何とか最後の席を確保。乗り遅れるとかなり待たないといけなかったので危なかった。
料金は1030円だった。

予定通り出発したバスは細い山道を標高を上げながら走る。当然蛇行しながら・・・車に弱い人は必ず酔うような道。
登山口の広河原まで55分。少しでも寝ておこうと思うものの、結局目をつぶっているのが精いっぱいだった。

予定通り広河原へ到着。既に各方面からの登山者で一杯だ。
広河原は標高1520m、南アルプスの登山基地としてとても有名なこともあり、ここで記念撮影をしている人もとても多かった。
気持ちはわかる。自分も「来た!ようやくスタートだ」と思ったので。
ちなみに、広河原では登山届の提出が呼びかけ続けられていた。やはり遭難が増え続けているらしい。
トイレの渋滞に並び、出発したのは6時40分頃だったかもしれない。

さあ行こう北岳へ


まずは長いつり橋を渡る。よく見た光景だ。
まだ雨はきていない。何とか持ってくれればいいのだけれど。

広河原山荘を横目にまずは白根御池小屋を目指す。初めからなかなかな急登が続く。
身体がまだ起きていないため思ったように動かない。
すぐに汗がポタポタ落ち始める。暑い。
広河原から小屋までのコースタイムは2時間30分。
眺望のない樹林帯をひたすらに登る。



8時20分、白根御池小屋へ到着。
初日の行程をここまでにする人もいるというけれど、テン場も小屋もとても気持ち良さそう。わかる気がする。
ちょうど高校登山部の一群が引率の教師とともに下山してくる。
女の子が他人の靴と間違えて履いてきてしまったなどと笑いながら話している。若いというのはそれだけで楽しいなと思う。

ソフトクリームを食べる。この頃からポツポツと降り始める。本降りにならないことを祈るけれど。

15分近く休憩してしまった。それでも、これが良かったかもしれない。ようやく身体が起きてきたように感じた。
白根御池小屋からはルートが二つ別れている。
一つは大樺沢二俣から左俣コースを抜けて八本歯のコルへ出るコース。
もう一方は草スベリの直登から北岳肩の小屋に向かうコース。
今年は左俣コースに雪が多めに残っているということで、雪渓直登も魅力的だったけれど、草スベリを選択した。
写真は草スベリを少し登った時に振り返って見た白根御池。晴れて風がなければもっと綺麗だっただろうと思う。
草スベリルートは地図上ではほんのわずかな距離。1キロもない。平地で走れば4分ぐらいだろう。
しかし、コースタイムは2時間30分。草原状の急斜面を500m直登するというルートになっている。

すれ違いは難しい細い登山道。下山者へもち道を譲りながら登る。
こんな直登はとにかく一定のペースで力を抜いて登る。
無駄な力を使わないことを心掛けて体を上に引き上げ続ける。
さっき以上に汗がしたたり落ちる。帽子の鍔から垂れる汗の数を数えて進んでいた。

背中側の展望を励みにしながら無言で登った。

登ること1時間10分、突然視界が広がり目の前に見事なお花畑が広がった。
草スベリ終了。
小太郎尾根分岐点の手前まで登り切った。
今年は雪が多かったからか、どこの山でも高山植物が長く見れているように思う。
北岳の花畑も凄かった。

さあ肩の小屋までもう少し。人間は看板を見ると元気が出る!

向こうに見えるのは鳳凰三山だろうか。



とにかく花がいっぱい咲いていた。疲れがとれるわけではないけれど、やっぱり癒される。

小太郎尾根分岐点まで登ってくると、遠くにあの山が見えた。富士山だ。

尾根道に出た途端に風がとても強くなってきた。合わせてガスで視界が無くなってくる。
晴れていれば絶景だっただろうけれど、仕方がない。時折飛ばされそうな強風が吹く中を向かい風気味の中を進む。
雨も降って来た。

前方で物凄い音がすると思って見て見ると、テントが飛ばされそうになっている。
テントがあるということは肩の小屋の近くだろう。
もう少し頑張れば小屋に入れる。

10時43分
北岳肩の小屋へ到着。
到着と同時に激しく雨が降り始めた。
ザックを仕舞い、小屋へ入る。何か食べたい。

肩の小屋の入り口はそれほど広くない。
狭い入り口を通り抜けると、数名が座ると一杯になる空間がある。
すでに2人の若者が食事の注文を済ませているようだった。
これから北岳山頂を目指し、さらにテン泊予定地の北岳山荘まで歩かないといけない。

注文したカレーが美味しかった。大盛にしておけば良かったと後悔した。
外に出るとツアーの登山者が到着し始めていた。
ガイドらしき人物が「明日は今日よりも天候が悪くなる」と告げている。
それを聞きながらん~と首をかしげていた。
高層天気図では良くはならないかもしれないが、悪くなるというようにも見えなかったから。
とにかく先を急ぐことにし、上下のレインウェアを着こんで出発する。
標高3000m近くの風雨ということもあり、動いていないとどんどん体温が奪われる。

先行する女性のピンクのウェアが何とか見えるほどの風雨。
肩の小屋から北岳山頂までは岩稜の急登。コースタイムで約50分となる。

晴れていれば最高の景色が見れただろうけれど、何とかマーカーを見つけて黙々と歩く。

そして真っ白なガスの中に立つ山頂看板に到着。約30分だった。
お疲れさまでした。日本第二位の高峰「北岳」に登頂。
日本第二位ながら山好きな人以外では何と無名なことか。

二位じゃだめですか?と言った政治家もいたけれど、北岳はいい山だった。
こんな真っ白な中だっただけに、今度は青空の下を登ってみたいとも思えた。
とくに危険個所もないため、子どもでも登りやすいと感じる。
秋が深まる前にチャンスがあればみーと登ってみたいとその時に感じた。
山頂で一息つきたいところだが、風雨は弱まる気配なく、そそくさと先を急ぐことにした。

また来るよ北岳。

雨風強くても美しい山風景~少しだけご褒美が待っていた

北岳山荘までは約1時間。
濡れた岩稜の下りとなるため気を引き締め直す。遭難の多くは下りで起きる。


高山植物が咲き乱れている。

足を滑らせないように慎重に。
そんな時、急に視界が明るくなったかと思うと、目の前のガスが吹き飛び始めた。

一瞬のご褒美。北岳山荘は雲の中だが、その先の間ノ岳方面が見えた。
ガスを身にまとった姿もまたいい。

稜線の鞍部付近を左から右に強烈な風がガスとともに吹き荒れている。
立っているのがやっとだったが、ガスが勢いよく流れていく様は見事だった。


標高3000mの稜線歩き。左手には富士山が見えていた。

ようやく見えた北岳山荘は雲に押しつぶされそうになりながら建っていた。
風が強い。果たしてテントが張れるだろうか。

ふと来た道を振り返ると、さっきまで真っ白だった北岳の頂が見える。
まるでラピュタのよう。思わずそう思った。


北岳山荘に到着。
あたりにはまだ雪の大きな壁が残っていた。
水は無料、ありがたい。
受付を済ませる。天候を聞くと、天気図を見せてくれた。

一瞬風がおさまった時に急いで設営。カミナドームは本当に楽に設営でき、パッキングもコンパクトでいい。

とりあえず山荘で買ったビールで一人乾杯。
天候は朝まで回復する気配はなく、結局そのまま夕方まで寝入ってしまった。
とても疲れたけれど、悪天候の中でも素晴らしい自然の姿を見れたことは本当に良かった。
続く

 

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