1日10円でヘリが飛ぶ、遭難者位置情報サービス「ココヘリ」に入会~山のお守りは新時代に

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最終更新日 2023-12-051日わずか10円の費用でもしもの時にヘリコプターが駆けつけてくれる。そんな会員制サービスがあります。

もしもの時に、北アルプス槍ヶ岳山域なら30分で駆けつけてくれる。それはかなり心強い。

「ココヘリ」は遭難者の位置特定だけに特化したヘリサービス。そんな「ココヘリ」に「山のお守り」として入会してみましたので紹介してみたいと思います。

山での遭難対策、登山届・山岳保険だけで大丈夫?

2016年の登山での遭難者は約3000人。ここ10年以上増え続けています。
私自身も目の前で事故、病気、怪我などにあった方を目撃したことがありますし、目の前で亡くなった方もいます。山での遭難、事故、怪我は日常茶飯事と考えた方がいいと思っています。

もちろん「自分は大丈夫」とはとても思えません。
私は単独行が多いので、常に警戒心を緩めないことを気にしながら歩きます。子どもと一緒の登山では、もし子どもが怪我をしたら果たして背負って帰れるか・・・そんなことを想像しながら登る子どもの背中を追っています。

もちろん山に登る原則として登山届は必ず提出します。
いざという時の遭難費用は、ヘリが1分1万円とも言われ高額になることが予想され、山岳保険にも入っています。季節や山域によっては二重にかけることもあります。

しかし、果たして登山届と山岳保険だけで大丈夫なのでしょうか?このことは前々から気になっていました。

命のリミット72時間

山岳救助における72時間というのはとても重要な指標だそうです。というのは、72時間が命がつながる一つの限界と言われているから。それを過ぎると生存率がグッと下がるのだそうです。

知らなかった、山での行方不明は失踪扱いという現実

2016年の遭難者のうち1割以上にあたる319人が死亡・もしくは行方不明となっています。
知らなかったのは、山での行方不明はあくまで「失踪扱い」とされること。
失踪とされてしまっては、例えば死亡保険金も下りない。ローンや保険料の免除も受けられない。場合によっては退職金も受け取れない・・・。そもそも、家族への精神的な負担は計り知れないでしょう・・・。
折しも年末調整時期。我が家も二人の子どものために学資保険をかけていますが、「あーこの保険も契約者死亡でのちの保険料免除だった・・・。」なんて改めて思い知らされました。

ココヘリは登山者の持つ発信機をヘリで探知して一刻も早く探し出す

もしもの時に出来るだけ早く遭難者を見つけること。
そのことは遭難者の命を救うためにも、家族に負担をかけないためにも大事なことなんだなと痛感。
ココヘリは遭難者の位置をとにかく出来るだけ早く、連絡から1時間や2時間のうちに特定することを目的にしたサービスです。
会員が所持する小型の電波発信機を頼りに高い精度でヘリが遭難者の位置を素早く探し出します。

登山届➕山岳保険➕ココヘリで山の三種の神器と言う人もいるそうですが、前者2つを活かすためにも、ココヘリが必要になっているのかなと思います。

簡単ココヘリ会員登録~端末はすぐに届きました~利用前に準備すること

ココヘリはネットで約5分ほどで入会手続きが完了します。とても簡単。
入会金3000円(初年度のみ)+年会費3650円で、会員一人一人に無償で発信機が貸与されます。
会費は1日10円。正直言って、これで本当にヘリが飛んでくれるの?と疑うほど安い!

手続きをしてからおおむね1週間でポストに投函されるそうです。

ココヘリ

私は3日ほどで届きました。

ココヘリ

封筒を開けるとこの3点が入っています。
・ココヘリ発信機(ヒトココ)
・パンフ(コールセンター番号など記載)
・充電用のケーブル

ヒトココ子機

発信機です。
裏面に9桁の数字が記載されていて、それが私の会員ID。
重さは20g、100円玉4枚分です。
フル充電で最大3カ月電波を発信し続けられるバッテリーが内蔵されているそうです。
もしもの時にはこの電波を頼りにヘリが私を探してくれます。数キロ先からでも探知可能とか。

完全防水ではないようですが、日常生活耐水設計になっているそうです。電源は入れづらくなっていますが、誤ってスイッチが切れたりしないようにとのこと。

後はココヘリを山に持って出かけるだけです。

遭難救助はヘリコプターの登場で大きく変わったと言われています。ヘリで遭難が起きたであろう山域に急行することでとにかくスピードアップが図られています。しかし、空から目視での確認となり、木々が邪魔していてはなかなか見つけにくいとも。
そこで電波を利用して遭難者を探そうというサービスが注目されるのでしょう。

もしもの時、ココヘリをどう使うのか

出来るだけ使いたくないですが、もしもの時をシュミレーションしてみました。二つのパターンを考えてみました。

①遭難者本人がココヘリを要請

遭難者本人が携帯の電波のつながる場所で遭難しいれば、自らで24時間365人つながるココヘリコールセンターへ電話。
遭難の連絡を受けてすぐに全国の提携ヘリ基地からヘリが飛び立ち、約1時間から2時間のうちに山域に到着。
発信機の信号をキャッチする親機は数キロ先からもとらえることが出来、遭難者の真上で位置を特定。
ココヘリは救助は行わず、位置情報を警察などの遭難救助隊に引き継いで救助を待つ。

②遭難者がココヘリを要請出来ない時

私の場合で考えてみます。
午後3時、下山途中で滑落し崖下に落ちて骨折。スマホも圏外、連絡手段はない・・・この時点で私が遭難したことは誰一人として気が付かないでしょう。
夜になり、家ではいつまでたっても帰ってこない私の帰りを心配し始めます。
私は普段からどの山に登るか、下山予定は何時頃で名古屋に何時頃に帰るかを事前に妻にメールで送っています。下山したら確認のメールも送るようにしています。しかし、実際には午後3時に下山予定だとしていても、午後4時になってメールがないから捜索願いを出すかというと出さないだろうと思います。
ようやく遭難届を出すのは早くて22時や23時頃、すでに遭難から8時間が経過。夜中にヘリは飛べず、遭難救助は翌朝を待ってからとなるでしょう。
翌午前6時(遭難から15時間経過)、ようやく遭難が開始されるがどこで遭難しているかわからない・・・どんどん時間が過ぎていく。
午前8時(遭難から17時間経過)ココヘリ捜索開始。中部の山域なら出発から1時間以内で到着可能だそうです。あっという間にヘリが近くに到着してくれる・・・。助かるかも・・・。
こんな感じでしょうか。

あまり考えたくないですが、常に一夜をしのげる装備を携行することが必要だと感じますね。一夜をしのぎ、後はココヘリが位置特定を待つことになります。

待つ身としても待たされる身としても、本当に1分でも早くと感じるでしょうね…色々と調べましたが、今現在日本の山域で遭難者を確実に探し出せる唯一の方法がココヘリであるように思います。

ココヘリを機能させるために必要なことが見えてくる

シュミレーションしてみると、ココヘリを効果的に機能さえる方法、命を守るために自らがやらなければいけないことが見えてきます。

①登山届、家族への行先連絡を確実に

登山届や家族への行先連絡がなければ、どこで遭難したかがわかりません。ヘリが飛ぶにも当てがなく飛んではしかたないですね。ちなみにココヘリでは1事案につき3回まで無償でヘリが飛んでくれます。
そして、家族へは発信機IDとコールセンターの番号を知らせておかなければいけませんね。私は部屋の目立つところに貼っておくつもりです。
それと、ココヘリのサービスは日没までとなっています。そもそも日没後に行動をするような計画は立てないのですが、余裕を持った山行計画と、どんなに遅くとも日没前1時間半や2時間前頃までには下山する。それまでに下山連絡がなければ家族からココヘリコールセンターへ連絡をしてもらうなどの約束をしておく必要がありそうです。

②山岳保険への加入

ココヘリはあくまで遭難者の位置特定サービスなので、そこからの救助費用をまかなうことは出来ません。
一回あたり100万円近くかかることもあるというヘリ捜索などの費用を負担するためには、山岳保険は欠かせません。

③安全登山への意識と必要な装備

常に遭難の危険はあり、安全に最大限心がけること。いざ遭難した時に最低一泊はしのげる装備の携行が必要だと感じます。

ココヘリ、早速つぎの山行から身につけていきます。ココヘリが山の常識になる日が来るかもしれないと思います。

ココヘリ

とても詳しくまとめられた動画があるのでどうぞ。

TREK TRACKのサービス拡大にも期待~山にもIoT時代が来るのか
もう一つ「TREK TRACK」についても期待しています。
こちらはサービスがまだ本格的にはスタートしていませんが将来性がありそうだなと感じています。
特徴はスマホの圏外地域からも位置情報を発信、把握できる新サービス。
  1. ユーザー登録、webから予約
  2. 自宅にデバイスが郵送される
  3. デバイスを持って移動すると、位置情報が自動的に記録される
  4. 使い終わったら返送用封筒で返却

もしもの時にはデバイスからもHELP信号を発信することが出来る。
常に位置情報を自宅にいる家族がスマホやPCから確認出来るため、位置情報の特定が容易。
こんな感じです。

こちらは、ココヘリの弱点である「携帯電波が入る前提での初期通報」に依拠しない点に大きな違いがあります。ココヘリと同じように小型の端末を携行し、もしもの時にはそこから助けを呼ぶことも出来る仕組み。
鍵はデバイスからの電波をキャッチするための無線基地局がどれだけ設置されるかにかかっているかと思いますが、近いうちに衣類に縫い付けるようなタイプの発信端末も開発を予定されているそうで、人の移動データの収集という観点からも面白そうな事業だなと感じます。いわゆるIoTですよねこれって。
まだ山域が限られ、端末のレンタル費用は1日700円からと若干高めなのですが、これからに期待です。
ちなみに事業主体は博報堂アイ・スタジオです。
試験運用的ではありますが奥秩父山域の限られた地域ではありますがサービスが始まっています。

 

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