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【燕岳・初冬テント泊】雪化粧が始まった北アルプスの女王は記憶に残る美しい姿を見せてくれた

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最終更新日 2023-12-05たまたま6月の前半に燕岳のテン場の予約が取れました。

子どもと登る・臆病な登山者でいようと思う

少し早いかなという思いは正直ありますが、可能であれば次男みぃ君を連れて初めての山のテン泊と行きたいところ。燕岳は思い出の山、長男の事故後初めての北アルプスの山、その時は中学生となっていた長男と新雪の女王に日帰りで会いに行きました。天候や体調や小学3年生の本人の力も含めて果たして。無理そうならすっぱり諦めますが、情報収集と出来るだけの準備をしてみたいと考えています。

誰かと登る、特に子どもと登るということになると嬉しさ反面、私はとても不安な気持ちになります。長男の時もそうでした。自分だけならその時の体調、自力、天候に対する備えなど何とでも考えられます。しかしいつも一緒にいるのに思いの他子どもの事は分からないものです。登山は登り、無事に下りてくることが大切。安全を常に意識して、臆病な登山者でいようといつも考えています。しっかり情報を集め、日ごろから子どもの様子を観察し、コミュニケーションをはかりながら見極める。最後は信頼するけれど、やはりどこかで用心深くいる。数年ぶりの子どもとの登山の再開で改めて気持ちを引き締め直そうと考えています。

2021年10月の燕岳・美しい記憶をとどめる

さて今日は昨年10月末に歩いた燕岳の様子を記録しておこうと思います。テントを担いで上がったのですが、本来は大天井岳(テント場予約不要)まで行ってテントを張るつもりでした。しかし、何か身体がとても重くて燕岳で腰を下ろしてしまいました。そういう意味では少し後悔の念が残る山行となったのですが、それも思い出になるのでしょう。少しずつ山と優しく向き合えるようになってきたように感じています。向き合うというか横並びで並走するような。歳かな。燕岳のテン場の予約が取れた時点でもうその先に行く気がなくなっていたか(笑)。

雪を纏い始めた燕岳はまだ秋の名残と冬の走入を行きかう時期。雪化粧した北アルプスの名峰を眺め、様々な景色を見せてくれた写真を撮っていて楽しい山行になりました。そんな美しかった時間を記録に残しておこうと思います。

燕岳・思い出の山

燕岳とは

長野県大町市・安曇野市に位置する飛騨山脈の一角に聳える燕岳。標高は2763m。日本二百名山に選定されている。登山口からの標高差は1260m。伊吹山と同じぐらい。標高差だけでは山ははかれませんが、自分にとっての基準となる山があると何となく想像がつきますね。

山頂の直下にある山小屋「燕山荘」はとても人気のある小屋で有名ですが、HPには燕岳からの情報発信が豊富。登る前には目を通すといいですね。特に初めて登られる方にはアドバイスとしてこちらがおススメ。「初めて北アルプス・燕岳へ登る方へ」。

駐車場の確保が難関

下山時の第三駐車場

登山口となる中房温泉付近には登山者用の駐車場が点在していますが、繁忙期の週末には金曜中には満車になってしまうことも。今回はギリギリで最も登山口から離れている第三駐車場へ停めることが出来ましたが、過去には麓からタクシーで向かったことも。バスやタクシーを考えておいた方が確実でしょう。ちなみに各駐車場には簡易のトレイがありますが、なかなかです。

ちなみに名古屋からは車で約3時間30分ほどでしょうか。

思い出の山

燕岳へは過去何度も登っています。目的地としたこともあれば通過点として通り過ぎたことも。登っても山頂までは面倒で行かなかったことも(笑)。燕山荘のケーキをいただいたり、生ビールを堪能したり・・・その一つ一つに思い出がありますが、最も記憶に残っているのは長男の交通事故後に一緒に登ったやはり初冬の燕岳。

今見るとっても懐かしい。当時中学2年生、その長男ももう高校三年生。時が経つのは早いですが、こうやってブログを書き続けていることで残る記録と記憶は財産なのだと感じるところです。

初冬の燕岳テント泊でノンビリ山歩き

燕岳へ向かったのは10月30日。北アルプスの主だった山々は雪に覆われ始めているという事前の情報でシーズン初の雪山歩きを楽しみに出かけました。

名古屋を深夜に出発し、登山口となる中房温泉の無料駐車場付近に付いた頃には薄っすらと明るくなり始めていました。麓では晩秋の頃。秋と冬の始まりを楽しみに燕岳へ向かう登山者で駐車場はほぼ満車。ようやく第三駐車場へ停めることが出来てすぐに準備を済ませ登山口へ向かいます。いつも思うのが駐車場から登山口までのアスファルトの道の辛い事(笑)。結構急登だし。

今回は中房登山口から燕山荘を経て燕岳を往復。翌日は来た道を戻るという一般的なピストンルート。

【1日目】標準CT 5時間15分 / 5.4km 燕山荘と燕岳往復含む
燕岳登山口 – 第二ベンチ – 合戦小屋 – 燕山荘 – 燕岳  – 燕山荘(1泊)
【2日目】標準CT 2時間50分 / 3.8km
燕山荘 – 合戦小屋 – 第二ベンチ  – 燕岳登山口
【合計】標準CT 8時間5分 / 9.2km

中房登山口は晩秋の装い

時間は午前6時10分。テント泊が予約制で無かった時にはこの時間では遅いかなと焦る時間ですが、予約しているということで安心。ただテント場の予約は出来たら無くして欲しい・・・。写真を見ると少し冷えていたようですが、歩き始めればすぐに熱くなることはわかっているのでファイントラックのドライレイヤーと冬用のベースレイヤーで出発。暑がりなのでこれでもすぐに汗が噴き出ます。

黄金色に色づいているのはカラマツでしょうか。真っ青な空と奥には雪に覆われた稜線。ヒンヤリした空気の中で秋から冬の始まりの雰囲気を堪能します。第一、第二とベンチを通過しながらノンビリと進みます。この日はなぜか身体が重い。合戦小屋の手前から雪が現れるもののノーアイゼンで進みます。

合戦小屋のお汁粉

午前8時14分、合戦小屋に到着。

夏は名物のスイカで賑わう合戦小屋。小屋前のベンチに荷物を下ろし、持ってきたおにぎりなどで栄養補給。しかしやっぱりここまで来たら食べたくなるのはスイカならぬお汁粉。お餅が三つ入って餡子の甘さが疲れを飛ばしてくれます。山小屋でお汁粉を出す事を考えた人は天才だと思います。

美味しかったです!

大展望の尾根歩きから燕山荘へ

小屋の裏手からグッと尾根へ登り詰めると標高2488mの合戦沢ノ頭。これからは燕山荘まで一本に続く尾根歩き。まだまだ雪の量はそれほどでもなく葉を落としたダケカンバがあちこちから枝を伸ばしています。

遠くに槍ヶ岳。夏のそれとは違う雲の形が面白い。

振り返ると安曇野の街並みと遠くには富士山もクッキリ。清々しい大展望はさすが高山の魅力。景色を楽しみながら進んでいるといつの間にか赤い屋根の燕山荘が目の前に迫ってきます。

はい到着です燕山荘!9時39分。登り3時間30分かかったのは久しぶりですが、合戦小屋で30分以上休憩していたのでそんなところかもしれませんね。雪はあるものの風が弱くて暑いぐらいです!

夏以来、お久しぶりの燕岳。燕山荘の前からこんな感じで見る事が出来ます。ニョキニョキと突き出した花崗岩の奇岩は一つ一つを見ると荒々しく見えたりするかもしれませんが、山全体の様相を眺めると、何とも美しい滑らかな山という印象を持つのは私だけでしょうか。北アルプスの女王という名に恥じない燕岳です。しかし、その名の意味を本当に理解するのは、季節ごと時間ごとに同じときがないその姿を見てからなのかもしれません。今回の山旅では女王の御召物を衣替えする様を見るように色々な姿を見る事が出来ました。

燕岳に登ったらまずは何より

テント泊ですからまずは場所の確保、設営をしなければいけません。槍ヶ岳などはテント設営位置は指定制ですが、燕岳は譲り合いながら自由に。無事雪の上の一等地をゲット出来ました。というのもまだこの時期は雪の量が少なく、平坦地は雪がとけて土がむき出しになってグチャグチャな状態の場所も。

こんな感じ。私の張ったのは一番上の雪が比較的たっぷりある場所です。

テン場付近から見る燕岳はまた少し違った姿を見せてくれます。

忘れちゃいけない何はともあれ!テントの設営が終わったら、燕山荘に戻りながらこの景色を見物です!槍ヶ岳が正面に。槍ヶ岳につながる稜線が雪化粧しながらもまだ黒い地面も見せていて何とも美しい。季節が冬に変わり切ってしまう前のこの時期の景色。山に登って下りてくることに何の意味があるのかと山に登らない人からすると思うかもしれませんが、その時にしか見る事の出来ない景色をこの目で見てみたいというただその純粋な気持ちが辛さにも打ち勝つと言えば分かってもらえるのでしょうか。

忘れてはいけないまずは何より!やっぱりこれです!

生ビールにもつ鍋!雪山で生ビール飲めるところってあまりない。登りの疲れも吹っ飛びます!って食べている頃にはもう回復してるんですけどね(笑)

さらに燕山荘のビーフシチュー。この写真を見ているだけでその時の香りが蘇ってきます。お肉トロトロでとっても美味しかったですよ。

そしてやっぱり燕岳にご挨拶

テント場と燕岳の距離感はこんな感じです。公式には片道40分で山頂とのこと。実際にはもっと近いように思いますが、ビールを飲んだ後だと若干フラフラしながら向かうことになります。

左手に北アルプスの山々を見ながらノンビリ山頂を目指します。このあたりよく雷鳥がいるポイントでもありますが、今回は会うことが出来ませんでしたね。

山上の水族館

秋の忘れ物

到着!なぜか雪のキティちゃんがいました!実は燕岳山頂に来るのは久しぶりかも。

振り返ると燕山荘、さらにその先に延びる槍ヶ岳に通じる表銀座縦走路。昨年の夏に歩きましたが、表銀座と言われるだけあってやはりいいルートだなと感じました。

テントに戻ってももうすることは何もなし。しばらく購入した缶ビールを片手にウロウロ歩いたり、テントの中でゴロゴロしたりして過ごしていると、あっという間に夕暮れが近づいて来てしまいました。山の時間というのはなぜこんなにも早く過ぎ去るのでしょう。夕暮れが近づくと流石に気温が下がってきますが、みな寒さを我慢しながらも待っているものがあります。

夕闇に閉ざされるその前に

陽が傾いていくにつれ、山の表情が刻々と変わっていく最高の時間。

燕岳にも西からの斜光が当たり昼間とはまた違った一面を見せてくれます。まるで絵画のような山・・・。

この時間ここにいられたことに感謝。

陽が落ちた後の僅かな煌めきも美しい。

大天井岳、表銀座も夕闇に包まれていく。

寒さの中でも皆さんこの時間を堪能していた。

陽の落ちた燕岳の佇まいのまた何とも表現しがたい姿。日の当たる燕岳も美しいですが、夜を前にした静かな姿にも惹かれてしまいます。

外に出ていた小屋泊の登山者も夕食の呼び出しで次々小屋内に。穏やかな談笑や食器が賑やかに擦れ合う音を聞いていると不思議と暖かさを感じさせます。

初冬のテント泊・どんな装備で

10月末、暗闇が迫る中、小屋とは違いテントは灯りがともっても寒々しく感じるのは何でしょう。実際寒いですけど(笑)。

極寒の厳冬期ほどではないにしても、氷点下5度ぐらいまでは下がったのでしょうか。テント内のプラティパスの水は朝パリパリ凍っていましたから。

ではそんな初冬の燕岳のテント泊寝具装備をご紹介。

【シュラフ】 ナンガ UDD380DX
【マット】 エクスペド DOWNMAT HL WINTER M
【補助マット】 山と道 ミニマリストパッド
【テント内シート】アライテント テントマットL 540000
【保温着】ネイチャーハイク ダウンパンツ
【ダウンシューズ】ナンガ ダウンシューズ

などになります。シュラフはいわゆる3シーズン用で快適使用温度は3℃。この季節のスペックとしては少し低いシュラフになりますが何せ軽量。その分をエクスペドのダウンマットで補う組み合わせです。雪面からの冷えを防ぐのに効果があるのはアライテントのテント内シート。2mm厚の薄い片面がアルミニウムフィルムとなっている薄い銀マットになります。アルミ面を地面に接するように敷くとかなり冷気を遮断できるため、ダウンマットの能力も発揮されやすくなるように思います。畳むと薄く軽量のため、この時期のテント泊ではパックパックの隙間に入れて必ず持っていくようにしています。

もう一つが新たに導入したネイチャーハイクのダウンパンツ。ダウンパンツは色々なメーカーから出されているものの、値段もそれなりにするのでこれまで手を出さずにいましたが、ネイチャーハイクのものが何せ格安のため試しに購入。結果、ビックリするほど快適でした。大体テント泊の夜は一度トイレに起きたりするのですが、冷えがなかったからでしょうか、朝までグッスリでした。

これらの装備を組み合わせて暖かく眠ることが出来ました。そうそう、山で眠るには枕も結構大事かなと思っています。安いし軽いし安眠の友。

朝陽が照らす女王の姿

山の夜は早く、午後7時頃にはすでに夢の中に。山のテント泊の良さはこの自由な時間の使い方が出来るからのような気がしています。夜の寒さも気にすることなく過ごすことが出来ました。

テントの外に顔を出すと分厚い雲の隙間がオレンジ色に染まり始めています。カメラを持って急いで外へ。

オレンジというか紫というか独特の光が差し込んで美しい時間に見惚れてしまいます。

展望デッキの上には多くの人が。それにしても寒い!手がジンジンと冷えて凍えます。

大天井への稜線もほんのりピンクに。どうも天気は下り坂。槍ヶ岳の姿は下りて来た雲の中にすっかり隠れてしまっていました。

燕山荘がどんなところに立っているのかよく分かりますね。小屋では朝食の準備が着々と進んでいるようです。

雲の隙間から一瞬の光が差し込みました。太陽の温かさといったら。

太陽の恩恵を浴びてテント場にもようやく温かさが。

女王はまた装いを変えて山全体がオレンジ色に染まっていました。

そのオレンジの姿も一瞬。わずか数分の美しい時間を見せてもらえました。

初冬から晩秋へ季節を戻る

テントへ戻って簡単に食事を済ませ、下山を開始することに。もし天候さえ良ければもう少しノンビリしたかったところですが。前日の冷え込みでカチカチに凍った地面を慎重に踏みながら下山。

歩き始めると冷たい風に雪が混じって飛んでいきます。もう1か月もすると真っ白な雪一面の山に変わっていくでしょう。

少しずつ

秋に

少し早く味わった冬の世界から秋へ逆戻り。秋もやっぱりいい。

今回の燕岳登山は体調こそ思わしくなかったものの、秋から冬、冬から秋へと歩くたびに変わる景色。天候や時間によって一度たりとも同じ姿ではない山の魅力を改めて再認識できる時間でした。こうやって2日間の時間をくれた家族にも感謝。

 

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