
残雪期の霊峰・白山~1300年の歴史の山に登る
最終更新日 2021-12-19
2017年6月3日、日本三名山とも呼ばれる石川県の白山を登って来た。
当日は天候が不安定で、山頂付近では吹雪く時間も。
だからこそ、一瞬のガスの切れ目に現れる火口湖はとても綺麗だった。
白山は富士山、立山とともに日本三名山、日本三霊山とされており、霊峰として古くからあがめられていたという。
山頂直下には白山神社、白山最高点(2702ⅿ)の御前峰には白山比咩神社奥宮がまつられている。
別当出合からの累積標高差は約1600~1700ⅿとそれなりにあるものの、距離は往復で15㎞超と短め。
あまり膝の調子が良くなかったので、いくつかある登山道の中で苦手な観光新道はやめ、砂防新道のピストンとした。
名古屋を出発したのは午前3時前。
白山は例年6月末にはマイカー規制が始まり、登山口となる「別当出合」へは、手前の市ノ瀬からバスでのアクサスとなる。
しかし、白山公園線(市ノ瀬~別当出合)の除雪が完了してからマイカー規制が始まるまでのわずかな期間だけは車で別当出合まで直接向かう事が出来る。今回はそのわずかな期間を生かして白山へ向かった。
真っ暗闇の中を東海北陸道を北進し、中部縦貫道から下道、市ノ瀬を経由して別当出合へ。
途中雨がパラついて真っ白になることも。
5時半頃に別当出合へ到着した頃には天候はあまり良くなかった。
30分ほど仮眠。
眼を覚ますと外は少し明るくなっていた。
今回はミューオンパックにレインウェアや防寒着、カンパラパックに行動食や地図を詰め込んでの出発となった。
残雪の白山ということで12本爪アイゼンを携行したが、雪は緩み始めているのでピッケルは持たずにダブルストックでいく。
駐車場から10分ほど歩くと別当出合登山口となる。
新緑がとても美しくてホッとする。
夏場にかけて登山者があふれる登山口もまだヒッソリしている。
数日前から右膝に違和感がありジッとしていても少し痛みが出る。軽くストレッチをするとサポートタイツのおかげか大丈夫そう。
さあ行こう。
長いつり橋を渡り
鬱蒼とした森へ入っていく。
目次【お好きなところから】
身体と相談しながらの序盤
修験の山として整備されてきたからだろうか、登山道には石畳が敷かれた部分も多い。一見楽そうに見えるが、この傾斜角度がとてもキツイ。
所々に転倒注意の看板があるが、つまづいて転倒でもしようものなら大けがになるだろう。石畳の急傾斜の登りには緩やかな別ルートも設けられているが、時間短縮のために石畳を行く。
時折視界が開けるとスタート時に垂れこめていたガスが切れ始めている。このまま好天してくれればいいのだけれど。
最初のポイント中飯場まで30分で到着。コースタイムは50分なので、いつもの出だしよりも少しいい。
休憩は取らずに進む。
少し前にも書いたようにこの日は労作性頭痛の予防のために登山口で頭痛薬を2錠飲んでいた。
中飯場から次のポイントである甚之助避難小屋までは登りで1時間30分。
ルートの視界が徐々に開けてくるのと合わせて青空が広がって来た。
雨上がりだけあって分厚い雲海が来た道を覆っている。
ルートには徐々に雪が現れてくる。踏み後はあるものの、途切れ途切れになる。まだまだこの時期の白山は登山者が少ない。
振り返ると残雪ゼブラ模様の別山がガスの向こうに見える。とても綺麗な山・・・
1900ⅿを過ぎた辺りから突然ガスに包まれた。天候の悪化が予想より早くなったのか。気圧の変化はあまりなさそうだけど。
甚之助避難小屋はもう目の前。
1970ⅿの甚之助避難小屋へ到着。中飯場から1時間。コースタイムの3分の2で到着できたものの、やっぱり右膝に違和感が出る。
痛みまではいかない。
ウェアを一枚羽織、ここからあアイゼンを着けて登ることにする。
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ノースのクライムベリーライトジャケット。
ゴアのC-KNITバッカーは薄手ながら強度にも優れ、透湿性の高さがわかる。この後山頂まで着っぱなしだったが汗蒸れはなし。
山の天気は変わりやすく
真っ白だった甚之助避難小屋を覚悟しながら出た途端、青空が戻って来た。山の天気は変わりやすいとはよく言ったものだとつくづく思う。
別山の男前度も上がってくる。
急な登りが続く。
少し前までは真っ白な雪で覆われていただろう山。
少しずつ溶けて雪と地面とのゼブラ模様を見せてくれる残雪期特有の美しさ。
真っ白な冬の山、ぎらつく太陽と夏山、紅葉に燃える山、残雪の山・・・色々な表情をその一瞬だけ見せてくれる。
その一瞬はその時に登らなければ見れないというのが登山の一つの魅力なんだろうか・・・。きついけど楽しい一瞬。
先行者が夏まで残る雪渓をトラバースしている。
いくつかのトラバースを繰り返し、少しずつ少しずつ前へ進む。
白山名物「黒ボコ岩」前の最後の急登を直登。
夏道ならばジグザグに進む道もまだ雪に閉ざさている。
「きついですね」と言葉を交わす。
写真手前の雪渓。写真で見るよりも急で結構きつかった。
最後の急登を登ると雪原の向こうに白山最高峰の姿が現れる。ここまで3時間。
遠くに見える木々が白くなっている。前日に入った寒波の影響だろうか。
雪原の雪も真新しくサラサラしている。
山頂直下の室堂ビジターセンターへ到着。写真ではわからないが猛烈な風が吹いていた。
さっきまで青空も見えていた空は白く覆われて視界はほとんどない。雪交じりの強風がおさまるかどうか、室堂で休憩しながら待つことにする。
ビジターセンターの中はストーブが焚かれて暖かい。小屋明け準備が進められていた。
1人だけの山頂へ
しばらく風待ちをしていたものの、弱まる様子はなく、午後からの天候悪化予想を考えるといましかないと外へ出る。
出た途端に太陽が射し始めた。こんなものか。
こんな山の奥に立派な神社があることに驚く。白山神社の鳥居はまだ雪に埋まっていて一番上に手が届く。
山頂への道はとてもよく整備されている。がしかし、この最後の登りが結構きつかったりする。整備されているだけにきつい。
それと強風。時折身をかがめないと進めないほどの風が襲う。
そして登頂。真っ白だった。そして寒い。
山頂は1人だけ。貸し切りだ。そりゃこの風とこのガスではそうだろう。
ただ、ガスの切れ目がありそうなのでしばし待つことにする。
一瞬眼下に室堂が見える。
終始濃いガスが覆っていたものの、一瞬の展望は素晴らしかった。
天候がよければ周回したり、観光新道でもと考えてはいたものの、山頂では風に雪が混じって顔が痛いほどだったので取りやめ。
素直に来た道を戻った。
予報通り駐車場付近まで来ると雨がパラついてきた。
北陸の名峰「白山」、今年は開山から1300年の記念の年。
残雪の白山はとても美しく、満足感の高い山歩きとなった。
次は秋の紅葉の時期に訪れてみたい。
2017年、別当出合までのマイカー規制は6月27日から開始。北陸の短い夏山シーズンを迎える。
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