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第33回介護福祉士国家試験を受験~介護は高度な知的労働であると思っています

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コロナ禍で世界が暗澹としている2021年1月31日、第33回介護福祉士国家試験を受験してきました。私が大学で福祉を学び始めたのは1992年。既に29年が経とうとしているので自分でも「今さら?」感が強いのですが、何だか取ろうかなと思ったわけです。

自己採点では合格点と合格基準を超えていましたから、今は3月末の発表を待つのみです。

「何で福祉なんて勉強するんだ?」と言われた30年前

当日、試験会場になった愛知県国際展示場には数千人?の受験者が集まっていました。会場の後方にいた私からは前にどれけの席が並んでいるのか見えないほど。横を向くと対策本を広げる受験者がどこまでも連なって座っていました。驚きました。

私が福祉を志した約30年ほど前、高校の進路指導の教員から「何で福祉なんて勉強するんだ?」と真剣に聞かれたことを今でもよく覚えています。バブル景気は既に終わっていたものの、銀行や証券会社に就職する道は沢山ありましたし、1年目の夏のボーナスで100万円支給されたなんて話もちょくちょく聞きました。教員は「福祉では生きていけない」と思っていたのでしょう。

元々「暮らしていくため」に福祉を学ぼうとしたのではありません。純粋にこの社会の現実を「学びたかった」。詳しくは書きませんが、中学3年生の時にこの本を読んだのが最大のきっかけでした。

最近再販されたこちらもその後読みました。

若者も含めて会場いっぱいの受験者を見た時にとても複雑な思いでした。複雑というのは何というかとても表現が難しいのですが、介護福祉士に限らず多くの介護ワーカーが真っ当な処遇をされて欲しいと。

私が高校生の頃に言われた教員からの一言は今でも決して間違っていないのかもしれません。介護ワーカーが軽く扱われているように感じてしまうのは、言い換えれば介護を必要としている当事者が軽く扱われているということかと思えてしまうのです。介護を軽く扱う社会に未来はないのではないのではないかと大袈裟ですが私は感じています。

そう言いながら、会場いっぱいの受験者を見てとても心強く思えました。こんなに沢山の人が福祉を志す世の中になったんだ、嬉しいなと。

第33回介護福祉国家試験の問題を紹介&解答を考えてみて欲しい

介護福祉国家試験の概要

筆記試験と実技試験(別日)が行われます。

筆記試験の問題は125問。下の11科目群から数問ずつ出題されます

1 人間の尊厳と自立、介護の基本
2 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
3 社会の理解
4 生活支援技術
5 介護過程
6 発達と老化の理解
7 認知症の理解
8 障害の理解
9 こころとからだのしくみ
10 医療的ケア
11 総合問題

合格基準は①60%程度の得点を取れたもの ②かつ上の11科目群全てで得点のあった者ということになっています。

今回は例年に比べて難しかったという声が多いようです。

このブログを読まれている方で介護に関わっていない方も大勢いるかと思いますが、実はいつ障害者になるかわかりません、いつ介護をする側になるかもわかりません。そんな時に介護福祉士と出会うことがあるかもしれません。今年の問題をいくつか紹介してみたいともいます。是非考えてみてもらいたいので答えはあえて書きません。

人間の尊厳と自立

問題①

自宅で生活しているAさん(87歳、男性、要介護3)は、7年前に脳梗塞で左片麻痺となり、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用していた。Aさんは食べることを楽しみしていたが、最近、食事中にむせることが多くなり、誤嚥を繰り返していた。誤嚥による緊急搬送の後、医師は妻に、「今後も自宅で生活を続けるならば、胃ろうを勧める」と話した。妻は仕方がないと諦めていたが、別に暮らしている長男は胃ろうの増設について納得していなかった。長男が訪れるたびに、Aさんの今後の生活をめぐって口論が繰り返されていた。妻は訪問介護員(ホームペルパー)にどうしたらよいか相談した。介護福祉士の職業倫理に基づく対応として、最も適切なものを一つ選びなさい。

1 「医療的なことについては発言できません」
2 「医師の判断なら、それに従うのが良いと思います」
3 「Aさん自身は、どのようにお考えなのでしょうか」
4 「息子さんの気持ちより、一緒に暮らす奥さんの気持ちが優先されますよ」
5 「息子さんと一緒に、医師の話を聞きに行ってみてください」

 

社会の理解

問題②

介護保険制度の利用に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 要介護認定は、介護保険被保険者証の交付の前に行う。
2 要介護認定には、主治医の意見書は不要である。
3 要介護認定の審査・判定は、市町村の委託を受けた医療機関が行う。
4 居宅サービス計画の作成は、原則として要介護認定の後に行う。
5 要介護者の施設サービス計画の作成は、地域包括支援センターが行う。

 

問題③

「障害者総合支援法」の障害者の定義に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい

1 18歳以上の者である。
2 65歳未満の者である。
3 難病寛恕は除外されている。
4 発達障碍者は除外されている。
5 精神作用物質による依存症の者は除外されている。

 

介護の基本

問題④

高齢者のリハビリテーションに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 機能訓練は、1回の量を少なくして複数回に分けて行う
2 基本的な動作を行う訓練は、物理療法である
3 関節障害のある人の筋力訓練は、関節を積極的に動かすことが効果的である
4 パーキンソン病の人の訓練では、体幹をひねることは避ける
5 関節リウマチの人の訓練は、朝に行うことが効果的である

 

コミュニケーション技術

問題⑤

運動性失語症のある人とコミュニケーションを図るときの留意点として最も適切なものを1つ選びなさい。

1 絵や写真を使って反応を引き出す
2 大きな声で1音ずつ区切って話す
3 手話を使うようにする
4 五十音表でひらがなを指してもらう
5 閉ざされた質問は控える

 

生活支援技術

問題⑥

慢性性閉塞性肺疾患のある利用者に関する記述のうち最も適切なものを1つ選びなさい。

1 繊維質の多い芋類を食事に取り入れる
2 炭酸飲料で水分補給する
3 タンパク質の多い食事は控える
4 高カロリーの食事は控える
5 1回の食事を減らし、回数を増やす

 

問題⑦

死期が近づいたときの介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 食事量が減少した時は、高カロリーの食事を用意する
2 チアノーゼが出現したきは、冷あん法を行う
3 全身倦怠感が強い時は、全身清拭から部分清拭に切り替える
4 傾眠傾向があるときは、話しかけないようにする
5 口腔内乾燥があるときは、アイスマッサージを行う

 

介護過程

問題⑧

次の記述のうち、介護過程の展開におけるアセスメントの説明として、最も適切なものを1つ選びなさい

1 支援内容を説明して同意を得ること
2 具体的な支援計画を検討すること
3 達成できる目標を設定すること
4 支援の経過を評価すること
5 利用者の生活課題を明確にすること

 

発達と老化の理解

問題⑨

高齢者の転倒に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい

1 介護が必要になる原因は、転倒による骨折が最も多い
2 服用による薬剤と転倒は、関連がある
3 転倒による骨折の部位は、足首が最も多い
4 転倒の場所は、屋内では浴室が最も多い
5 過去に転倒したことがあると、再度の転倒の危険性は低くなる

 

認知症の理解

問題⑩

レビー小体型認知症に関する次の記述のうち最も適切なものを1つ選びなさい

1 脳梗塞が原因である
2 初発症状は記憶障害である
3 けいれんがみられる
4 人格変化がみられる
5 誤嚥性肺炎の合併が多い

 

障害の理解

問題⑪

ICF(国際生活機能分類)の社会モデルに基づく障害のとらえ方に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい

1 個人の問題としてとらえる
2 病気・外傷から直接的に生じる
3 さまざまな環境との相互作用によって生じる
4 治療してできるだけ回復させることを目的とする
5 医療などによる援助を必要とする

 

問題⑫

脊髄の完全損傷で、プッシュアップが可能となる最上位のレベルとして最も適切なものを1つ選びなさい

1 頚髄(C1~C3)
2 頚髄(C7)
3 胸髄
4 腰髄
5 仙髄

 

どうでしょうか?解答わかりますか。このような問題が125問出されます。

知的労働としての介護

介護の基本から社会の理解、コミュニケーションの方法論まで多岐にわたる分野を単に知識として知るだけでなく理解して実践していることが求められます。経験が長くなるとあらゆる問題に精通していることが周囲から求められてきます。また行政との様々なやり取りも生まれるので介護技術だけでは利用者の方の権利を守れない場合も出てきます。社会の中で対人でも対行政などとの間でも総合的な力が問われるのが介護職です。また介護の理論や道具などは常に進化しているので常に学びが必要になります。

そして何と言っても目の前にいる介護を必要としている高齢者であったり障害者であったりは一人ひとり全く違います。高齢者といっても様々な障害を抱えている場合もあり、障害にも知的、精神、身体など、同じ知的でも人によって全く違い・・・。あらゆる情報や経験などを総動員しながら目の前の利用者のありのままの姿、発する言葉、行動について情報を収集し、瞬時に選択して実践していくことが求められます。その判断を誤ると時として生命の危険に直面することもあるのが介護労働です。

相手は一人ひとり違う生きた人間ですから、経験だけでは通用せず、何年やっても失敗することばかり。激しい叱責にあって自信を喪失したり自己嫌悪になったり、燃え尽きてしまったり・・・そんな中でも常に考え続ける労働が介護労働です。また一人では介護は行えませんから、チーム作りにも精通しなければならない。

介護や福祉は誰だって出来る「お世話」の軽い仕事ではないとおもうのです。

コロナ禍で増す心的身体的負担

コロナ禍のもと介護現場では感染が広がっています。愛知県でも介護施設の従事者に定期的なPCR検査実施との報道が先日流れていました。昨年春の緊急事態宣言が出された元でも業務の継続が要請されたのが医療や介護の現場でした。介護を停めてしまっては社会が成り立たなくなるというのがわかっていたからでしょう。

介護現場ではコロナウイルス感染対策の要と言われる3密回避はとても難しい課題です。便や尿の処理は常にありますし、食事介助、密着は避けられません。いつ感染してもおかしくないという不安を常に抱えながら働いているにも関わらず、もし感染しても給与はわずかしか補償しない、もしくは無給との処遇が発表されたりもしています。あまりにもの待遇です。

介護福祉士でも処遇改善は3000円

2021年現在、介護福祉士の資格を取るためにはいくつかのコースがありますが、実務者研修というコースには受講と試験費用含めて約15万円かかりました。しかし、私の働く法人ではですが、介護福祉士の手当は月に3000円です。ほとんど賃金が上がったことを実感できないでしょうね。試験費用を回収するのにも50か月かかる計算です。もちろん処遇向上だけが目的で介護福祉士を取ろうと思ったわけではないのですが、介護の国家資格の扱いがその程度です。

それでも続けたいと思えること

介護福祉士の受験のために学び考える過程は私にとってもいい刺激や新たな学びの場を作ることになりました。取ろうと思った自分をほめてあげたい(笑)と。様々な矛盾を抱えながらも、介護の仕事はその人や家族、そして社会に深く関わり学びのある魅力的な仕事だろうと思います。

会場いっぱいの受験者がそれぞれの現場で頑張って働き、介護の質が高まり、事業も安定する。そんな介護の未来を作っていくために少しでも貢献できればと考えています。私に何が出来るんでしょう。まずは目の前の現場で全力を尽くすことですね。

 

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