レビュー:エクスペド「ダウンマットHLウィンターM」と厳冬期テント泊の寝床事情
最終更新日 2023-12-05もう12月末、今年は雪少なめなのかな?と思っていますが、「北アの積雪は平年並み」(岐阜新聞)とか。今後の予報を見ていると、クリスマス以降は強い寒気が日本列島を覆うとか。期待したいところです。
さて寒がりな私は、昨シーズンからシュラフをナンガUDD810DX🔗へ、厳冬期用マットをエクスペド「ダウンマットHLウィンターM」へ変更するなど、テント泊の寝床事情を刷新しました。
これからの冬山本番シーズン、マイナス20℃のテント内でどう寝るか?今日はそんなことを書いてみたいと思います。
目次【お好きなところから】
エクスペドの厳冬期用マット「ダウンマットHLウィンターM」の凄さ
雪というか氷の上で寝るときに重要なのはやっぱりマット。エクスペドのダウンマットの中で最軽量でありながら高い断熱性を誇る「HLウィンターM」はこの一年で買って良かったと心底思える山道具の一つです。
「ダウンマット」というだけあり、マットの中に700フィルパワーのグーズダウンが132g封入されている同商品。これが最高です!
それまでは同じくエクスペドの「ダウンマットライト5」シリーズを使っていましたが、氷点下10度近くになると寒さを感じることが度々ありました。
そこで、同じエクスペドでもよりグレードの高い「HLウィンターM」に目をつけますが国内では取り扱いが少なく、海外サイトで偶然見つけ、すぐに取り寄せました。安かったです。
エクスペド国内公式オンラインショップ🔗でも現在は品切れ中です(2018年12月23日時点)
なんと言っても驚異の断熱性
HLウィンターMはエアマットです。エアマットの中にダウンを封入することで、マット内の空気の対流を防ぎ、「寒くなく寝やすい」マットを実現したということです。マット内にダウンを封入するというのはエクスペドが初めて行ったことではないでしょうか。
マットの断熱性能を図る一つの目安として使われる「R値」。材料の熱の伝わりにくさを表す数値。数字が大きいほど冷たい地表に身体の熱を奪われにくくなるということですね。
商品名 | R値(熱抵抗性) |
サーマレスト Zライトソル(クローズドセル) | 2.6 |
サーマレスト リッジレストソーライト(クローズドセル) | 2.8 |
サーマレスト リッジレストソーラー(クローズドセル) | 3.5 |
サーマレスト ネオエアーXサーモ(エアマット) | 5.7 |
エクスペド ダウンマットHLウィンターM(エアマット) | 7 |
※サイズは全てレギュラーサイズ
上の表は、一般的に登山でよく使われるマット類のR値の比較です。HLウィンターMのR値の高さは一目瞭然です。ちなみに、銀マット(10mm)のR値は0.5です。
サーマレストのエアーマットで最高のR値を誇る「ネオエアーXサーモ」はマイナス20度が限界使用温度だとされていますが、エクスペド「ダウンマット HLウィンターM」の限界使用温度域はマイナス32℃。
マイナス32℃というのはなかなか経験することはないのですが、厳冬期のテント内でマイナス20℃程度はよくあること。このマットだと安心感が違います。
実際使ってみると夜中寒さで起きることなく熟睡出来るようになりました。ダウンが熱を逃さず、次第にマット自体ががポカポカしてくるくらいです。(※個人差があります)
厳冬期対応全身用エアマットながらコンパクト収納、使い勝手良く、寝心地も抜群
コンパクトに収納出来ることも大きな魅力です。雪山テン泊装備はただでさえスコップや防寒着などが増えますから、出来るだけコンパクトに荷物をまとめたいものです。
収納サイズはナルゲン1Lボトル程度のコンパクトさ。A4サイズの用紙と比べると分かりやすいでしょうか。ザックの中にスッキリ仕舞えます。
膨らますのも簡単。付属のポンプサックで3回〜4回ほど空気を入れると完成します。最大長は183cm、ロフトは9cm。
空気の注入は付属するポンプサックで行います。このポンプサック自体が定価5000円以上するもの。
パタパタして空気を入れて、口をしばって3回ほど送り込むとパンパンになります。とても簡単。防水スタッフサックとしても使えます。
最後に重量比較をしてみたいと思います。「HLウィンターM」と同じくエクスペドのダウンマットとしてR値7を誇るマットとして「ULウィンターM」があります。R値は7、マイナス32度対応です。
HLはULをさらに軽量化したモデルとなります。他のマットと一緒に比べてみたいと思います。
商品名 | 重量 |
サーマレスト Zライトソル(クローズドセル) | 410g |
サーマレスト リッジレストソーライト(クローズドセル) | 400g |
サーマレスト リッジレストソーラー(クローズドセル) | 540g |
サーマレスト ネオエアーXサーモ(エアマット) | 430g |
エクスペド ダウンマットULウィンターM(エアマット) | 630g |
エクスペド ダウンマットHLウィンターM(エアマット) | 485g |
ULウィンターMからHLへしっかりと軽量化という進化を辿っていることがわかります。他のマットと比較しても互角に争える上、嵩張るクローズドセルと比べてコンパクトになるメリットは優位性があると思います。
重量 485 g
収納サイズ 22x直径11.5 cm
ダウン重量 132 g (700FP)
限界使用温度域 -32°C
R-value 7
付属品 スタッフサック・リペアキット・ポンプサック
厳冬期のテント泊寝床事情
シュラフやマットの強化ももちろんですが、それだけでは十分ではありません。さらにいくつか対策をしないといけません。
マット二枚重ねで念には念を
上で書いた「R値」ですが、基礎知識として「足し算が出来る」という点は重要です。
例えば、銀マットのR値0.5はウィンターMのR値7と一緒に重ねて使えば、7.5のマットになるということ。Zライトソルの上に敷けば「R値9.6」のマットの出来上がりというわけです。マットでも重要なのはレイヤリングということですね。
銀マットでもいいのですが、より使い勝手のいい薄型マットを「マットのベースレイヤー」として使っています。それは「山と道」の「ミニマリストパッド53ℊ」🔗。その名の通り超軽量の53ℊで今年の夏山でも大活躍してくれました。
ミニマリストパッドの気に入っているところは折りたたんでザックのメッシュポケットなどに挟んでおけること。マットと地面の間にこれ一枚挟むことで随分違ってきます。より環境が厳しそうな時はサーマレストのZライトなどでもいいと思いますが、今のところ十分です。
熱源には使い捨てカイロ「マグマ」が便利
人間は睡眠時には体温が下がります。その時に熱源があるとないでは断然違います。ハクキンカイロなどもいいのですが、やっぱり簡単なのは使い捨てカイロ。今気に入っているのは桐灰から発売されている「マグマ」です。
桐灰化学 めっちゃ熱いカイロ マグマ 貼らないカイロ すぐ高温・屋外で冷めない 10個入
ドラッグストアなどでも気軽に手に入るしコスパいいですね。とても熱くなるといいますが、雪中で使っているとちょうどいいぐらいに感じます。
「カミナドーム」を冬仕様にすることも考えるけれど・・・
オールシーズン愛用している山テント、ファイントラック「カミナドーム1」。
スノーフライや内張2種が発売。公式を見ると内張を使うと3度から10度テント内の温度を上げることが出来るとか。
興味があり先日現物も見て来たのですが、それなりの値段がするのでい様子見です。
まとめ
いよいよ本番となる冬山シーズン。それほど過酷な所へ行くわけではありませんが、銀白の世界のテント泊は本当に素晴らしい経験が出来ます。しっかり備えて安心登山に心がけたいと思います。
各所で品切れとなっているHLウィンターMですが、「ハイカーズデポ」さんでは取り扱っているような?興味があればご確認下さい。(2018年12月23日現在)
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