【2019.10】蝶ケ岳~常念岳/北アルプスの大展望を楽しむ日帰り周回山歩きはマイクロフォーサーズお化けレンズもデビューさせた
最終更新日 2023-12-05様々な事が重なって山へ行けない日々が続いていますが、過去の山歩き写真を整理していたらまだアップしていない山行の記録が出てきたので2年近く前のものになりますが出してみたいと思います。
2019年の10月初旬、絶好の好天に恵まれて向かったのは槍穂高連峰の大パノラマが楽しめる蝶ケ岳から常念岳を巡る周回縦走コース。時間があればテントをかついでノンビリ1泊2日と行きたいところですが、時間に余裕のないハイカーなので今回も日帰り周回登山です。晩秋の北アルプスの空気を感じながら静かな山歩きが楽しめたことは今でもしっかり記憶に残っていますし、この日下ろしたてのマイクロフォーサーズお化けレンズを試すのも楽しくてウキウキしながら登ったのがつい先日のようです。
蝶ケ岳から常念岳、もしくは反対周りの縦走コースは北アルプスの縦走初級向けコースと言われているだけに非常に歩きやすいいいコースです。単独の山への登頂の次のステップに是非おススメ出来るコースかと思いますので興味のある方も是非。写真多目です。
目次【お好きなところから】
秋の一日、北アルプスどこを歩く
10月初めにもなると北アルプスでは紅葉も終わりがけ、朝晩の冷え込みも強まり、場合によっては降雪があってもおかしくない時期に入ります。しかし移動性高気圧にすっぽりと日本列島が包まれた秋の晴天という予報を見れば歩きたくなる気持ちを抑えるのは難しい。
限られた時間は1日で山域は北アルプスに限った場合、新穂高からの西穂高岳往復、燕岳往復なども捨てがたいところですが、もう少し長めの距離を歩きたいとなれば笠ヶ岳往復や扇沢からの鹿島槍ヶ岳往復、剱岳早月尾根なども候補に。最終的にはノンビリ縦走気分も楽しみたいと思い、歩き慣れた蝶が岳・常念岳を三股登山口から周回するコースを選択。
色々と計画を考える時にネットの情報ももちろん役立ちますし、ヤマレコやヤマップなどは直前の登山道情報や道路情報を得るために必ず見るようにしていますが、やはり紙媒体でパラパラ見ていくのが比較しやすいかなと思っています。少し古い本にはなりますが、「北アルプス特選登山案内」はそんな時にとても役に立ってくれています。
晩秋の北アルプス「蝶が岳‐常念岳」周回装備
晩秋の北アルプス日帰り装備は夏山装備を基本にしつつも少し防寒対策も補充します。
写真は下山時の一枚(笑)。
ザックは山と道のMINI。軽量で体の上部に吸い付くような背負いごごちが気持ちいい。工夫すればテント泊装備も入ってしまう軽量コンパクトザックですが、もちろん日帰り登山でもその軽さは正義。
ハイドレーションを愛用していますが、弱点としてはザックから出たホース部分の飲料が気温低下によって凍ってしまうと使えなくなってしまうこと。10月はもちろん通常ならば大丈夫なのですが、天候や気温によっては注意が必要になります。ただ、凍ってしまうことは無い程度の低い気温はホース内の飲料を常に冷たく冷やしてくれるので、ちょこちょこ飲料補給をする登山において常に冷たい飲料が口に運ばれるのは気分転換にもなってとても好きです。ハイドレーションも色々使ってみましたが定番のプラティパスに落ち着いています。
登山では必ずストックを利用します。もちろん山域によっては持っていかないことや仕舞うこともありますが、登山中の8割以上の時間はストックにお世話になっています。愛用しているのはあまり被ることがないFIZANのCompact。一本158gと軽量で継ぎ目が目立たず見た目も美しいのでお気に入りです。
長時間持つものだけに軽くて耐久性のあるものがいいですが、こちらは軽量ながらアルミ製なので耐久性も〇です。
サコッシュは必需品です。もう長く愛用しているのはasobitogearさんのあそびポケットです。
私は歩きながら食べたり飲んだりする登山が多くあまり休憩を取らないのですが、胸元のサコッシュに行動食を詰め込んでおくとそれだけで何となく安心感があります。サコッシュにはおにぎりや大福などの重めのものからシリアルや飴などの軽めの行動食など3種類ほどを詰めて飽きないように工夫しています。それ以外には簡単なファーストエイドからココヘリ発信機などもサコッシュ内です。一時期ザックにココヘリを付けていた事があるのですが、滑落等の際にザックが体から離れてしまっているのを見てからサコッシュに付けるようにしています。よくブラブラするからサコッシュは邪魔という人がいますが、最初にサコッシュを方掛けし、ザックのチェストベルトで押さえてしまえば岩場などでもブラブラすることはないと思います。取りたいものを取りたい時にすぐに取り出せるその即応性がサコッシュの最大の魅力だと思いますが、安全登山のためにも必需品です。
ウェア類は防寒対策としてノースのアルタイジャケット(廃盤)をザックに入れておきましたが使いませんでした。陽が昇る前の気温が低い時間帯から登りましたが、活躍したのはやっぱりファイントラックのフロウラップフーディーでした。着っぱなしでいられるのがとにかく便利。
登山靴はスポルティバのシンセシス。ゴアテックスサラウンドの軽量シューズですが、この靴が過ぎすぎるのに残念なことに廃盤・・・復活して欲しいです。3足ぐらい買います(笑)。
ちなみに今年はULTRA RAPTOR Ⅱのローカット版を購入したので試してみたいと思っています。
蝶ヶ岳‐常念岳を三股登山口から周回縦走
三股登山口アクセス
登山口の三股へ到着したのは5時前だったと思います。正確に言うと登山口となる三股の無料駐車場は大混雑だったため、それよりも500mほど下った狭い駐車場へ車を停めて歩き始めたのは5時頃でした。
三股の登山口は無料で使える上にトイレまであるのがありがたいですね。安曇野市内から細い山道をクネクネと登って行った終点にあるのですが、実はこの日は信じられないことが起きました。私の前を行く車は確かに少しゆっくり暗闇の細い林道を走ってはいたんです。私はその車の後をついて走っていましたが、しばらくすると後ろにも数台の後続車が。すると私の真後ろの車がクラクションを鳴らし始めました。急ぎたい気持ちは分かりますが・・・すれ違うのもやっとの細い林道で後ろからクラクションを鳴らすなんてちょっと驚きましたし、マナー違反ではないのかとちょっとイラっと残念な気持ちで登山をスタートさせました。
コースタイムなど
今回のコースの標準コースタイムは15時間15分、距離は15.1kmとなります。以下がポイントごとの参考コースタイムです。
08:00 三股駐車場 – 08:20 三股 – 10:20 まめうち平 – 13:00 蝶ヶ岳 – 13:30 2624m地点 – 13:55 蝶槍 – 15:05 2591m地点 – 16:05 2498m地点 – 17:20 常念岳山頂 – 17:25 常念岳 – 18:25 前常念岳 – 20:25 2166m地点 – 22:55 三股 – 23:15 三股駐車場
距離は大したことはありませんが、累積標高は登り下りともに約2000m。登りごたえは十分です。途中の山小屋として蝶ヶ岳山頂直下の蝶ヶ岳ヒュッテと今回のルートからは少し離れますが常念小屋が存在しています。通常は1泊2日が推奨です。縦走が無理そうな場合は蝶ヶ岳往復、常念岳往復というのも選択肢です。無理のない登山計画を。
登山開始
真っ暗な登山口を通り過ぎてまずは蝶ヶ岳方面へ。暗すぎたので名物のゴジラの木も見落として進みます。まず目的地となるのがまめうち平呼ばれる登山道脇に存在する少し開けた平坦地。気温も低く止まっていると凍えてしまうほど。あれだけ駐車場に多かった登山者には誰にも会う事なく進みます。
時間は5時47分となっています。10月初めでもこの時間になると随分明るいですね。三股から2.5km、ウォーミングアップのような整備された登山道です。
これはどのあたりでしょう、すでに標高は2000mを超えていると思いますが安曇野市街が雲海に覆われていました。空は雲一つない快晴。風もなく空気はピンと張って夏のそれとはまた違った晩秋の空気感が気持ち良かったです。
大きな印象的な木の向こうに常念岳の稜線が見え始めました。まだまだ随分遠いな。
紅葉の最盛期は過ぎてしまっていたと思いましたが、黄色い葉が日を浴びて輝くのは美しい。
残雪期にも何度か登っていますがよく道迷いを起こしてしまう場所・・・樹林帯を抜けてもう少しで蝶ヶ岳も間近です。
ガラガラした岩の道を歩いていくとパッと目の前が開けます。印象的な赤い屋根の蝶ヶ岳ヒュッテと槍穂高連峰の大パノラマが眼前に。午前7時31分。約2時間半ほどで登頂です。
趣があるというか質素というのか、蝶ヶ岳の山頂標識にタッチしてきました。
山頂からヒュッテと大パノラマ。まだ影が長くて朝の時間を感じます。
右手には素晴らしい雲海が・・・。本当に乗れるんじゃないかと思ってしまうほど。こんなに見事な雲海は初めてでしたね。山をはじめ自然の素晴らしさというのは同じ場所同じ時間でも一度として同じ光景ではないということですね。ノンビリと地面に座って雲海を眺めている登山者が羨ましかった。
穂高連峰をアップ、涸沢カールもバッチリ。
広角側でヒュッテと雲海と奥の常念岳も一枚に。今回のマイクロフォーサーズお化けレンズはこの時発売間もないパナソニックのLEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7。フルサイズ換算20mから50の標準域までをF1.7通しで実現したライカ基準を満たしたレンズ。一本のレンズで色々な山の姿を写し取ることが出来るかなと思い購入したレンズ。記事の最後に少し書いてみようと思います。それにしても空が綺麗でした。
蝶ヶ岳ヒュッテ内はとても整っていて清潔でこじんまりしたいい小屋。軽食などもとれますが(コロナ前)、持ってきたおにぎりを外のベンチに座っていただきます。あまりにも気持ちが良かったので何と30分も大休止してしまいました。もうこのまま下山してもいいかなとか思いましたが、先に進みます。
ここからはしばらくは大展望を左手に見ながらの稜線歩き。最高の時間です。
右手に見えるのが常念岳。
少し左に目線を振ると槍穂。
色づきの最盛期は終わった涸沢カールと大キレット。
振り返ると安曇野側の山の斜面が色とりどりに染まっています。
ほぼ独り占めの贅沢な時間です。
程なくして稜線上の目標点となる蝶槍というポイントに到着。
ヒュッテからだと約30分で歩いていますね。ここまで来て引き返すというのもアリです。目の前には常念岳が一層大きく見えてきました。ただしここからはアップダウンが始まります。
柔らかな曲線が美しい。どこを見ても絶景の連続。
池塘に映る青空と紅葉。
このレンズの色味がとても好き。秋の空の空気感を淡い雲とともに描写してくれています。
長い稜線歩きから常念岳への鞍部へ下っていきます。馬の背のような常念岳と前常念岳の尾根がもう目の前。
下り切ったところからいよいよこの日最後の登りとなる常念岳への登りに取りつきます。
ざれた登山道を地味に登っていきますが、槍穂の大展望が背中を押してくれます。
アップで。
高確率で雷鳥に出会ってきた常念岳への登りですが今回は出会うことが出来ませんでした。
もう少しで常念岳山頂。歩いてきた稜線を振り返る。
日本百名山「常念岳」の山頂は流石に登山者で一杯。
お疲れさまでした、最後のガレ場を登り切ると標高2857mの常念岳山頂到着です。小さな祠が祀られています。出発から約6時間、午前11時ちょうどでした。蝶ヶ岳から常念岳までの歩きは北アルプスのオールスターを眺めながらの贅沢なルート。思わず見とれてしまうポイントばかりでとても楽しく歩くことが出来ます。危険個所は特にないため岩場歩きが苦手という方などでも安心して歩けるかと思います。
さらに燕岳方面へ続く稜線。
常念岳山頂は狭いためいつも休憩は前常念岳方面へ下った途中で取るようにしています。ちょうど昼時ということで持ってきたおにぎりと大福を食べてエネルギーを補給。前常念岳から下りがざれた道に大きな岩を乗り越えるポイントが続いて少し気を使います。そんな時に集中力を切らさないためにも取りつく前にしっかり補給が大事。
一気に下ってくると突然見えるのが旧石室跡でしょうか。入れないのかな?いつもスルーしてしまうのですが、エスケープルートがない一本道だけにいざという時にはありがたいでしょうね。この先は雲の中に入っていきます。絶景の北アルプスともここでお別れです。
樹林帯の中を一気に下ること約2時間。ゴール近くまで来ると雲も切れて青空と紅葉が最後に見れました。
お疲れさまでした。13時45分に三股登山口へ戻ってきました。スタートから8時間45分。歩きごたえも十分で景色も最高の秋の一日となりました。
今回のカメラレンズと山での利用について
この時の山歩きの目的の1つは新しく購入したマイクロフォーサーズレンズを試すことでした。
使用したのはパナソニック ルミックス LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH. 。パナソニックはこの後からフルサイズ市場へも参入していきましたが、10mの超広角から標準域の25mまでを一本のズームレンズにまとめ、なおかつF値が1.7通しというちょっとフルサイズでは考えられないようなマイクロフォーサーズのお化けレンズを作ってくれたことは率直に言って凄い。
下の二枚はほぼ同じ場所からの撮影。
一本のレンズでF1.7の10mm、12mm、14mm、18mm、25mmの単焦点レンズがまかなえるという売り文句は伊達ではありません。
最近のコメントでもこのレンズの山での使い勝手はどうですか?という声がありましたので、改めて若干紹介してみたいと思います。
画質等についてはそんなに詳しく語れるような者ではないので公式だったりカメラマンの方にお任せいたします(笑)。ただ、よく言われる色乗り?が普段最も山でよく使っているOLYMPUS マイクロフォーサーズレンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROのあっさりした描写よりもコッテリしているような印象を受けています。
OLYMPUSの12‐100もとてもいいレンズですが、F値が4.0と若干暗いため、朝方や夕暮れ時などのいわゆる山のマジックアワーでは必然的にISO感度を上げざる得ません。夜間の星撮影なども難しい。10‐25のF値1.7は山の色々なシーンに対応出来るレンズだと感じますね。
ちなみに台湾のECサイトテコバイでは10‐25が15万円台で売っています。
気になる携行性は?
10‐25の重量は約690g(レンズフード、レンズキャップ、レンズリアキャップを含まず)、12‐100は560gとされています。重さも若干違いますが、特にレンズの太さが全く違います。マイクロフォーサーズレンズの中では眺望遠レンズでもないのに存在感が半端ない。
OLYMPUS OM-D E-M1 MarkIIIボディの重量が504gとされていますので、合わせて1.2kgとなります。となりますが、バランスがいいんでしょうか?特に重さを感じることはありません。
普段はザックのショルダーベルト左肩下にピークデザインのキャプチャーを取り付けて引っかけて持ち歩いています。
山と道MINIに装着したところですが、結構デカいですね!ただ、左右のバランスが崩れてしまうような感じはありません。万が一の脱落防止のために同じくピークデザインのリーシュカメラストラップを首にかけています。
ブラブラするんじゃないかという不安も聞きますが、走ればブラブラします。激しく走るとドンドンと胸にぶつかります(笑)。しかし、そんな時にはザックに入れるしかありません。
欲を言えば・・・夢のような話ですが、10‐50ぐらいの焦点域でF1.2、600gぐらいまでの超化け物レンズが出たら嬉しいな(笑)ないか。
以上、随分前の山歩きの記事でしたが、何かの参考になれば嬉しいです。
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