西鎌尾根経由で槍ヶ岳、1泊2日テント泊縦走~新穂高から周回

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2018年6月30日-7月1日、新穂高温泉をスタート地点に、双六小屋、西鎌尾根経由の槍ヶ岳周回テント泊縦走を1泊2日で歩いてきました。

距離にして31km、累積標高差は登り・下りともに約2500m、コースタイム約20時間という長めのルートですが、昨年歩いた双六方面からの西鎌尾根がとても綺麗で印象深かったので、2018年の夏山スタートはここからと思い歩いてきました。

夏山スタート時期の土日ということで混むことも予想されたのですが、天気予報があまり芳しくなかったこともあり、初日の双六小屋までのルートでも数名、2日目の西鎌尾根ではすれ違いでわずか1名のみという少なさ。とてもラッキーでした。

槍ヶ岳を目指して歩く絶景ルート、西鎌尾根とは?行程やコースタイムは?

今回のルートと標準コースタイム(参考)
【初日】05:30 新穂高温泉(スタート) – 06:30 中崎橋 – 06:40 笠新道登山口 – 06:50 わさび平小屋 – 07:10 小池新道登山口 – 08:10 秩父沢出合 – 09:40 シシウドヶ原 – 10:40 鏡平 – 11:40 弓折分岐(乗越) – 12:50 双六小屋(1泊) 【2日目】04:00 双六小屋 – 04:45 樅沢岳 – 05:35 2599m地点 – 06:25 左俣乗越 – 07:55 千丈乗越 – 09:25 槍ヶ岳山荘 – 09:55 槍ヶ岳 – 10:25 槍ヶ岳山荘 – 10:35 飛騨乗越 – 11:45 千丈分岐点 – 13:15 槍平小屋 – 14:05 滝谷出合 – 15:15 白出沢出合(奥穂高登山口) – 16:45 新穂高温泉(ゴール)

「西鎌尾根」とは槍ヶ岳を中心に西側に延びる長い尾根のことです。他にも、表銀座コースのルートとなる東鎌尾根や有名なバリエーションルートとなる北鎌尾根などがあります。南鎌尾根というのは聞きませんが、北穂高岳へ延びる大キレットはそれにあたるのかもしれませんね。

どれもシンボリックな形をする槍ヶ岳を中心に伸びる美しい稜線や岩稜帯を歩く楽しいコース。同時に、そこへたどり着くまでのアプローチが長いのも特徴です。上の囲み内のルートとタイムは、新穂高温泉をスタートとゴール地点とした「西鎌尾根」を歩くための標準的なコースですが、今回私は初日に双六小屋まで歩き、二日目に西鎌尾根を歩いて槍ヶ岳へ登頂、そのまま飛騨沢を下って新穂高温泉まで下山という1泊2日テント泊という行程を組みました。

西鎌尾根を歩くなら出来れば2泊以上がおススメ

天下の北アルプスですから、ルートは非常に整備されており(ただ夏山シーズン前ということもあり、若干荒れていましたが)、長いコースでありますが1泊2日でも歩けます。ただこのコースは2泊以上がおススメです。初日の宿泊地を鏡平山荘にして池に写る逆さ槍を眺めるもよし、双六小屋にして双六岳を楽しむのもイイと思います。二日目に西鎌尾根を歩き槍ヶ岳へ登頂し、そのまま槍ヶ岳の夕陽、翌朝の朝焼けを眺め、3日目に下山というのが贅沢な山歩き満喫行程だと思います。ルート本などにも2泊3日が推奨されています。ただ、私は2日間しか休みがなかった・・・

今回のテント泊山行での大まかなコースタイム

今回私の大まかなコースタイムはこんな感じでした。参考になれば。
【1日目】新穂高5時20分ー鏡平9時40分ー双六小屋12時30分
【2日目】双六小屋4時10分ー槍ヶ岳山荘9時5分ー槍ヶ岳往復ー槍ヶ岳山荘10時35分ー新穂高温泉登山指導センター17時20分

初日動時間7時間10分、2日目行動時間13時間10分、トータル20時間20分。休憩込み、テント泊装備ということでは大体こんなものじゃないでしょうか。初日はそれほどでもありませんが、二日目が予定で13時間行動の上、飛騨沢が大雨の影響でとても荒れていたことや、滝谷出合付近の渡渉ポイントが増水で困難であったり、そして何と言っても今年の猛烈な暑さ・・・なかなか苦行のような時間が長く続きました。それでも、このルートは美しく、槍ヶ岳や穂高連峰を間近に感じながら歩いて行くというのが魅力の好ルートだと思います。

前置きが長くなりましたが、では本編スタートしたいと思います。

新穂高温泉を双六小屋に向けてスタート

名古屋から新穂高温泉登山口へのアクセス

名古屋から名神、東海北陸道を北上し、平湯を通過して新穂高温泉へ。約2時間30分の道のり。登山者無料駐車場の深山荘に駐車して2時間ほど仮眠を取ることが出来ました。天候の回復を期待したものの、予報通りのどんより曇り空。登山指導センターにて登山届を提出します。

時間は5時20分、出発です。天気が持てばいいのですが。

直前にかけられた秩父沢の橋を渡り、鏡池山荘へ夏道ルートを行く

新穂高温泉登山センター横の橋を渡り、道なりにしばらく行くとゲートがあります。双六岳、笠ヶ岳へのルートのスタート地点。

わさび平小屋で短時間の休憩。まだ小屋開け前で準備が進められていました。この先もう少しだけ林道が続きます。気温は高くないものの、とても蒸し暑い。汗が滝のように流れます。延々と続く林道。なだらかな登りが続き、とても眠くなります(笑)

午前7時前頃に小池新道登山口に到着。ここからようやく本格的な登山がスタート。相変わらず空はどんより。天気がいいと登山口から見上げる稜線がとても美しいのですが・・・この日は半分以上が分厚い雲の中。

少し歩くと出てくる「小池新道」が浮かび上がるように苔むした岩。

今回ありがたかったのは秩父沢に橋がかけられていたこと。例年ですと7月中旬頃ということでしたが、今年は雪の融雪が早かったからか、前週の情報ではかかっていなかった橋が。高巻きして越えなければいけないかと思っていただけに感謝です。細そうに見えますが、沢の幅はそれなりにあり、冷たい沢水で顔を洗ってリフレッシュ。

6月末だとまだ所々に雪渓が残っています。ルートを見失いがちなので気を付けながら進みます。昨年は大きくルートを外れてとても大変だったことを思い出します。

この日は雨が降った後だったので登山道は沢のようになっていました。危ない程ではないのですが、滑らないように進みます。小池新道はとてもよく整備されており、マーキングも確か。安心です。

7時50分、出発から2時間30分でチボ岩に到着。コースタイムより20分ほど早いぐらい。ゆっくりです。ここで少しだけ休息。まだ先は長い。

その後もトボトボと一人旅。目の前にこんな岩が見えてくるとようやく気持ちも上がります。昨年はまだ雪で埋まっていたために巻いた鏡平山荘。少しだけ急登となりますが、相変わらずとてもよく整備されており歩きやすい。

キヌガサソウの群生があったりして。

登り詰めていくとフラットな地形へ。鏡平山荘まであと5分です。突然ヒンヤリしてきましたよ。

何も映さない鏡池・・・残念!まあこの空ですから予想していましたが。天気が良ければ槍が映るのかな?

9時40分、鏡平山荘前のベンチに腰かけてエネルギー補給。小屋明け準備で忙しそうでしたが、小屋番の方からはこの先のルートについてお話。たまたまこの日が夏道のルート作り、雪切りにスタッフが出ているということで、もしかしたら夏道が通れるようになっているかもとのこと。春道となる弓折岳への藪漕ぎを覚悟していただけに嬉しい。

休憩を終え再スタート。しばらく雪渓を登っていくと、春道と夏道の分岐付近の急な雪渓上で作業をされている山小屋スタッフの皆さん。

近づくと、作業中だけれども通ってよしとのこと。ありがたく登らせていただきましたよ。ご苦労様です。春道だと弓折岳山頂付近まで藪漕ぎでしたが、かなりショートカットになりました。

ガスが・・・。弓折乗越を越えれば若干のアップダウンもありながら後は双六小屋まで一息。

濃いガスの隙間から双六岳方面を覗くことが出来ます。このあたりの山はあまり登っていないので山座同定が出来ません。

双六岳。奥が三俣蓮華岳ですかね。

小さなアップダウンを繰り返し、ようやく双六小屋が見えてきました。テントはないですね。一番最初に到着したようです。

12時30分過ぎ。登山口から7時間10分ほどで双六小屋へ到着です。お疲れさまでした。大きな小屋です。この小屋の水がまた美味しいのです。無料ですしね。到着し、受付を済ませてテントを張り始めると激しい雨が降り始めました。間一髪です。風もかなり強く、急いでテントの中に避難。

後ろに双六岳。いつもながらのカミナドーム1です。

天気は安定せず、降ったり止んだり。風は強風のまま。この日の予定では双六岳を空身でピストンする予定ですが、しまいには雷も鳴り始めました。

テントの中でおつまみのソーセージなどを茹で、kindleで読書をしながら時間を潰すしかありませんでした。雨だけならまだしも雷は危ない。時間だけが過ぎましたが、万が一のチャンスにかけ、午後5時頃からの登頂を待ちます。夕日が見れたら。

晩御飯替わりに双六小屋で4時半頃にカレーとおでん。この頃でも次々に小屋泊まりの登山者が到着します。皆さんずぶ濡れ。食べている最中もゴロゴロ鳴っています。わずかな望みに期待していましたが、食後には諦めました。

テントに戻り、シュラフに体を突っ込んだまま読書。風も雨もおさまる気配はなく、星も期待できそうにありません。翌日は13時間のロングコース。4時前には出発をしたいと思っていたのですが、天候の不安がありなかなか眠れなかったですね。

しかしそんな不安もなんのその、翌日は最高の景色を眺めることが出来たのでした。

西鎌尾根を歩き槍ヶ岳へ

翌朝、3時過ぎにアラームで起きました。寒さを感じることもなく熟睡。前日に受け取っていた小屋のお弁当を朝食代わりに食べます。お湯を沸かし、食事を作るのでもいいのですが、早出予定の時はこれが一番早い。

双六小屋のお弁当美味しかったです。ボリュームも満点。最後は押し込んで何とか食べきることが出来ました。

テントの隙間から外を覗くと、昨日からの雨はあがり星も見えます。ただ西からの風がかなり強い。西鎌尾根は稜線歩きが4時間ほど続くのですが、尾根の東側を歩く時間が長いので何とか大丈夫でしょう。荷物をパパっとまとめ、テントを仕舞って出発です。

一晩お世話になった双六小屋へ挨拶。出発は4時5分。ほぼ予定通りです。

写真はブレていますが、暗いということだけでなく、風が強くて姿勢が保持できません。

まずは樅沢岳へ登ります。寝起きということもありユックリ。次第に東の空が染まり始めます。

振り返ると双六岳と雲がピンク色に見事に染まっていました。山は朝と夕方に限ります。四方には誰もおらずまさに独り占めです。

こちらも。鷲羽岳方面かな?

暫くするとあたり一面黄金色に。

日の出です。

これから向かう槍ヶ岳も金色に染まりました。本当に幻想的な何とも言えない贅沢な時間でした。

出発から30分、4時38分に樅沢岳山頂部。

今日歩く西鎌尾根の全容がよく見渡せます。細かなアップダウンを繰り返しながら槍ヶ岳へ続く一本道。途中斜度のある雪渓のトラバースもあるので、アイゼンも準備しています。さあいきましょう。

今回のカメラ装備はいつものOLYMPUS「OMD-EM1markⅡ」にレンズはこちら。

携帯性もよくよいレンズなのですが、日常使いの方が向いているかなと最近は思っています。

一つ目の雪渓を越えたところです。朝方の雪渓はまだまだガチガチに凍っていて危なかったです。無理せずアイゼンが必要ですね。いったん滑ったら止まら無さそうです。美しい景色の反面、ヒヤヒヤしました。

昨日通った鏡平山荘や弓折岳方面にも日が当たり始めました。それにしても風が強い。ちょっとはおさまってくれればいいのですが。気を緩めると飛ばされそうな時がありました。

時期柄、雪渓がまだ残っていますが、西鎌尾根のルートは明瞭です。雪渓のトラバース以外にはほとんど危険個所はありません。

硫黄乗越通過

硫黄乗越までスタートから1時間15分ほど。写真を撮らなければ1時間というところでしょうか。この先の左俣岳は山頂部を巻いて通過します。

朝陽を受けて歩きます。誰にも会わないので影を自撮り。

気持ち槍ヶ岳が近づいてきたような。それでもまだまだ先です。

左俣乗越通過

6時8分、スタートから2時間で左俣乗越に到着。

このあたりから岩場やガレ場が多くなってきます。普通に歩けば大丈夫ですね。

千丈乗越通過、槍ヶ岳はもう目の前

少し長めの雪渓のトラバースを越え、千丈乗越に到着。7時30分。風が強くて結構体力が消耗。ここで少しだけ休憩としました。

振り返って越えてきた雪渓。この日初めて登山者とすれ違いました。ここまで来ると槍ヶ岳方面の人の姿も見えてきます。

右手には下りに使うことになる飛騨沢でしょうか。

千丈乗越まで来ると槍ヶ岳はもう目と鼻の先なのですが、ここからが最後の急登です。ガレガレの道を一歩一歩進みますよ。山荘もよく見えているので気持ちが入ります。

小槍かな?左手に通過します。

最後の岩場を通過し、ようやく槍ヶ岳山荘へ。

お疲れさまでした。9時5分。ちょうど5時間かかりました。雪渓がなければもう少し早かったと思いますが、アイゼンを付けたり外したりというのに思いのほか時間が取られました。

山荘前のベンチに座り、しばし余韻にひたりながら休憩です。

槍ヶ岳

初めて槍ヶ岳を登ったのは上高地から残雪期の槍沢ルートを通ってでした。とにかく長いルートで、一度登ればもういいかなとお腹がいっぱいになった記憶があります。しかし、その後何となく毎年登っているんですよね(笑)。登りたいからということよりも、何となく交通の要所になっているからというのは結果論ですが。

30分ほど休憩し、槍ヶ岳往復へ出かけます。ヘルメットはしっかり被りましょう。この時間帯はほとんど登る人、下る人もおらず、何と貸し切り。贅沢です。

ホントに岩だらけですね。

槍ヶ岳の穂先と言われる部分は確かに険しそうに見えますし、気を付けなければいけないことは間違いないのですが、マーキングも鎖もとてもよく整備されており、間違えなければ安全に登れると思います。問題は途中で怖がらないことですね。怖いなと思ったら止めた方がいいでしょうね。

あっという間に小屋が下に。

途中岩から出た足場を頼りに体を引き上げます。上に誰もいないので落石の心配が少ないのでスイスイです。

登りと下りの梯子です。これを登り切れば頂上。

お疲れさまでした。3180ⅿ、槍ヶ岳山頂です。

小屋も随分下に見えます。

今日歩いて来た西鎌尾根にガスが湧き始めています。上から見ると本当に綺麗な稜線です。

こちらは昨年歩いた大キレット方面。西鎌尾根とは様相が全く違いますね。

グルっと見渡したので下山します。誰一人いないので撮ってもらえず・・・(笑)高い高い。

はいお疲れさまでした。人がいなければ槍ヶ岳穂先の往復はあっという間です。

この後少し売店に立ち寄り水分補給。今日はこの先がまだまだ長いのです。まだ7時間近く歩かなければいけません。

時間に余裕があるならばここでもう一泊か、時間も早いので南岳まで歩いてもう一泊したいところですね。残念です。

飛騨沢から新穂高へ下山

さよなら槍ヶ岳、西鎌尾根~また来ます多分。

大喰岳がおいでおいでと誘っているようです(笑)未練を断ち切り、テン場を通って飛騨乗越へ下ります。

この時ちょうど11時前、灼熱の太陽が照り付けます。この先はもう苦行以外の何物でもありませんでした。

一気に標高を下げます。

実は飛騨沢ルートを使うのは初めてだったのですが、道に岩がゴロゴロ転がっており、非常に荒れていました。土砂が流れ込んだような感じでした。とても歩きにくく、比較的下山は得意な私でもコースタイムが巻けません。疲労も重なり暑さもピーク。辛かった。唯一嬉しかったのが沢から流れる冷たい水。頭を突っ込んで冷やしては進みました。

13時前に槍平小屋へ到着。

暑さから逃れるように小屋に避難。

かけうどんなら出せるということでいただきました。美味しかった。ここで30分近くの大休止。火照った体を少しだけ休ませることが出来ました。

小屋を再出発してしばらく歩くと滝谷避難小屋前で滝谷に合流。橋はかかっていないので渡渉をしないといけないのですが、なかなか水量が多い。何か所かポイントを見つけるも危険を感じ、しばらくウロウロ探しているとようやく一か所渡れそうな場所を見つけて慎重に渡渉。ここは水量が多くなると危険です。事前に情報を仕入れておくことが必要ですね。

さらに下山は続き、途中から林道歩きを続け、ようやくゲートへ到着したのは午後5時。

新穂高温泉登山センターへ到着したのは5時20分。出発してから13時間15分。長い一日でした。

それでも西鎌尾根の朝陽を独り占めし、槍ヶ岳が少しずつ近づいてくる楽しいルートを歩けたのは最高でした。6月終わりから7月初めにかけての夏山スタートの時期、いいスタートが切れた山歩きとなりました。

ただ、やっぱりこのルートは2泊以上がおススメ、1泊では勿体ないと思います。

今回の主な装備

登山靴ザックテントシュラフマット防寒着ソフトシェル

カメラ オリンパス「OMD-EM1markⅡ」

地図

 

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