安倍首相が表明した保育士、介護職員の給与改善表明に思う

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最終更新日 2021-12-19こちらも12時日記ではありませんf^_^;)今日は3本たまってしまいました(u_u)
昨日26日、安倍首相が保育士の給与を2%、介護職員の給与を月額1万円引き上げることを表明したと報道されています。
Yahoo!ニュース
何度も書いていますが、私の仕事は知的障害者の施設介護職員です。
現状よりも処遇が改善されることは歓迎されることですが、このニュースを聞きながら、いくつか感じることがありました・・・。
①保育士給与2%UP案では現状の保育士不足、待機児童対策にはあまりに不十分過ぎるのではないか…
私の働く法人に限りませんが、保育士の給与は驚くほど低い。
短大卒の保育士資格保有者で、月額手取りが13万円とか14万円ぐらい。10年経験を積んでも20万円にはまず届きません。私も見せてもらった時に驚きました。
名古屋市の調査では、民間保育所の保育士平均在職年数は5年未満です。理由としては続けたくても経済的に続けられないのです。
この現状は、子どもと親ににとってとても不幸で不安な状態です。
経験の浅い、2年目の保育士が現場の主任にならざる得ない…たまに聞きますが、シンドイです。
子どもの命に関わる仕事、資格があれば保育が出来るわけじゃないですよね。
現場にベテラン、中堅、若手がバランスよくいてこそ、保育の実践が豊かに蓄積され、伝えられていくのだと思います。
親と子どもにとっては、それこそが一番の安心です。大事な我が子をとにかくどこでもいいから預けれればいいと思う親はいないと思います。
この賃金の低さ、社会的身分の低さに、保育士不足、ひいては社会問題化する待機児童問題の1つの原因があると誰もが思うのではないでしょうか。
安倍首相が示したという2%、月額6000円という数字にも疑問を感じます。モデルは月額30万円程の保育士給与からの計算だと思いますが、私の知る限りほんの一握りです。
先の新人だと月額3000円UPにならないと思います。これで、問題は解決するでしょうか?
6000円UPさせますよー!
この数字の使い方…まるで三菱自動車の燃費偽装問題と瓜二つだと感じてしまいます…
②介護職員給与月額1万円アップで、処遇改善は「最後」にされてしまわないか不安

高齢や障害分野の介護職員の給与も月額1万円上げると発表されていますが、根拠としてサービス業全体の平均賃金より1万円低いからという情報が出されています。
このことについては3月9日にも記事を書いています。

率直に言って、月額1万円UPで終わらされては困ります。
「サービス業」という捉え方にまず違和感を感じますが、なぜ比較対象を「サービス業」に限定し、「全産業平均賃金」より月額10万円低いという実態を課題にしないのでしょう?
「サービス業」という範囲の中ではそれほど低くないでしょう?とでもいいたいのでしょうか?
そもそも介護分野は「頑張ってサービス」すれば、利用者からの利益が増えて、給料が上がるという仕組みではありません。
施設運営費、その中の大半を占める人件費を国からの介護報酬でまかなうという仕組みです。
施設運営で言えば、受け入れることが許される定員は固く定められていますから、受け入れれば受け入れただけ利益が大きくなるというような仕組みではありません。仮にそういう仕組みだとしてもまた問題です。
定められた額が主な収入となる国の介護報酬は、大きな流れでは総額抑制の動きですから、現場では先行きがわからず、賃金を増やせないのです。
結局、介護報酬の削減は先の保育問題とも同じく、介護を必要とする人やその家族にしわ寄せがいくのだと思います。
③3月に野党共同で提案されていた保育士給与、介護職員給与引き上げ法案へ反対したのはなぜななのでしょうか?

2つの疑問を書きましたが、そもそも安倍首相は3月に野党が共同して提出した介護職員の処遇改善法案、保育士の処遇改善法案についてどう考えているのでしょう?
国会に提出された2つの法案はまともな審議もされず、反対の理由も示されないまま多数決で否決されてしまいました。与党は反対討論にさえ立たなかった・・・
野党提案の内容は今回安倍首相が表明したものよりもかなり進んだものでした。
もちろん、意見の違いから反対してもいいのです。
でもね、それなら国会という場で「なぜ反対するのか」理由を語り、野党案と共通する部分はないのか、もっとこうしたらいいのではないか?など、十分討論して欲しいのです。
仮に「野党が出したから反対」だとしたら、国会という場が形骸化してしまいます。
今回の安倍首相の表明は、国会の役割を無視するかのようで、内容のいかんにかかわりなく釈然としない思いが残ります。
④今回の対策では熊本地震から見えてくる福祉避難所の機能不全問題への回答には全くならないと思う
先日、熊本日日新聞に「災害弱者支援 福祉避難所の充実急げ」という社説が掲載されました。
大変な状況の中で、実態をつかみ、次に繋げなければいけない課題を鮮明にした、とても価値のある報道だと思います。
私の職場も福祉避難所に指定されています。そのことは先日書きました。

熊本では、この福祉避難所がほとんど機能していないという現状の背景には、認知度の遅れなどもありますが、根本的には支え手となる介護職員の不足があると思います。記事でもそのことに触れています。
震災など、いざという時に高齢者や障害者が犠牲とならないよう、国と自治体は福祉避難所を指定してきているのですが、その際の支え手となる介護職員か一体どれだけいれば、その地域の要支援者のケアができるのか。
その人材を確保するために、今回の案でふさわしいのかどうなのか、熊本の現実が突きつけている課題に応えられるのか、安倍首相には選挙前のパフォーマンスでなく、真剣に考えていただきたいと切に願います。

 

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