剱岳

剱岳に憧れて③~立山三山・剱岳縦走記

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剱岳をのぞむ
前劔を越え、突如雲の中から姿を現した剱岳。
思わず息を飲む。

2017年8月5日~6日
立山三山と剱岳を歩いて来た。
「試練と憧れ」
「岩と雪の殿堂」
「最後の空白地帯」
剱岳には色々な形容詞がついて回るが
歩いて実感するその魅力
少しの緊張と期待を胸に剱岳を歩く。

「試練と憧れ」標高2999m剱岳へ

標高2999mの剱岳。
先日の9月9日は剱岳の日だったそうだ。
あと1mで3000m峰の仲間入りではあるけれど、標高がどうあろうとも剱岳は登山者の憧れの山だろうと思う。
1907年の「初登頂」を開山とすると今年は開山から110年。
110年も経っているのかと思いきや、同じく富山の霊峰「白山」は開山から1300年を数える。
岩と雪で覆われた険しい山容から、近代に至るまで測量が行われず、日本地図の空白地帯となっていた山が剱岳だ。
毎年遭難者、負傷者を出す山としても知られ、「日本百名山」の一般登山ルートの中では今回歩いた「別山尾根」や「早月尾根」は難関と捉えられている。それだけに、「いつかは剱岳へ」と考える登山者は少なくない。
自分もその一人だ。
危険も多く、今回もドクターヘリでの救急搬送現場を目の当たりにした。
心してかからないと。

午前3時過ぎ、雨上がりのスタート

夜半に強くテントに打ち付けた雨はなんとか上がり、起きだしたのは午前2時20分頃だった。

カミナドームの入り口から外をのぞき込むと、剱岳は分厚い雲に覆われていた。

剱沢キャンプ場

周囲のテントにも明かりがつき、出発の準備があちこちで始まろうとしていた。
天気をチェックすると雨雲は消えている。雲の経過も何とかなりそう。
青空は期待できないかもしれないが、日が昇れば濡れた岩場も乾き始めるだろうと出発準備を急ぐ。

空腹は感じないが、無理をしてでもとにかく食べる。
ラーメンとリゾッタを一気に食べ、ジェル系飲料も口にした。
剱沢キャンプ場から剱岳へは登り3時間30分弱、下りも鎖や岩場の連続でそれほど変わらない。
往復6時間~7時間、渋滞すればあっという間に+1~2時間はかかってしまう。
トイレを済ませ、予定していた3時を少し回った頃に出発準備が整った。

ふと見ると、暗闇に剱岳のシルエットが浮かび上がっていた。
3時10分、剱沢キャンプ場出発
まずは剱沢小屋まで下り、数か所の雪渓をトラバースして剣山荘に向かう。
出発時に若干雨がパラついてきたのでウェアを一枚羽織る。

 

 

ノースのクライムベリーライトジャケットは天候不順な今年の夏山ではとても役に立ってくれた。
ゴアテックスだけれども最新の技術でとても動きやすく軽い。
雪渓のトラバース道は夜の冷え込みでツルツルになっている。
もう少し時期が早ければストックやピッケルが必要だったかもしれないが、慎重に蹴り込みながら歩を進める。

濡れながら剣山壮に到着

途中振り返るとテン場からは次々にヘッドライトの明かりがこちらに向かってくるのがわかる。
ほどなくして剣山荘に無事に到着。
雨が若干強まっていることを感じながらも先に進む。
剣山荘裏手から一気に急な登りになる。
2618mの一服剱への出だしから「待ってました」と言わんばかりに鎖が始まる。

濡れてとても滑りやすい。
すでにこのあたりでリタイヤしてうずくまる登山者の姿もあった。

前方に見えるのは前剱だろうか、沢山の登山者がとりついて光の列が綺麗に見えた。

剱岳

暗闇の岩場を一気に下り、そしてまた登る。
別山尾根は大小のアップダウンを繰り返しながら徐々に標高を上げ、距離を縮めていく。
コースタイム以上に負担が大きい。

一服剱と前剱の間の鞍部が「武蔵のコル」になる。このあたりから踏み後がいたる所についており、ロスしないように注意しながら進んだ。

剱岳

4時半を過ぎた頃から急に辺りが明るくなって来た。
ご来光が見れたら最高だったけれども贅沢は言えない。
濡れた岩場が少しでも乾いてくれるとありがたい。
振り返ると、剱沢のテン場は雲がかかり、手前の一服剱もはっきりとわかる。

剱岳

しばらく景色を眺めているとテン場にかかっていた雲が飛ばされていった。
絶景だ。

剱岳の鎖

剱岳

剱岳4番目の鎖場

主要な鎖には番号とプレートが打ってある。
鎖はまるでヘビのように山肌を縫って伸びている。浮石、落石も時折あり、鎖に頼りすぎずに注意して進む。
グングンと標高を稼いでいくが、まだまだ核心部は先だ。

剱岳

前剱に到着

前剱を前にして再びガスが立ち込めて来た。
午前5時5分 前剱に到達。

剱岳

一群の登山者の口から「まだまだあるな」と漏れる。
剱岳は大きい。雲に隠れてはいるけれど、苦労して登って来た前剱を圧倒する大きさと迫力が目の前に迫っている。
いよいよここからが本番だ。

剱岳へ最大の核心部、前剱から山頂へ

剱岳

剱沢側のルートをたどり先へ進むが、足場があまりよくない。落石も頻発する。前方の登山者と距離を取りながら進む。
すぐに目の前に大きな岩峰が現れる。

剱岳
剱岳

剱岳

岩峰の前には長さ4mほどの鉄のハシゴがかかっており、足を滑らせればそれまでという場所だが見た目ほどは高度感はない。ちょっと楽しい大人のアスレチックのよう。

剱岳

足場はしっかりあり、慎重に進めば問題はない。
右上の方向に登り切ったかと思うと、岩峰の反対側から今度は平蔵谷側へ鎖で下りていく。本当に登ったり下りたり忙しい。

剱岳

剱岳

岩に垂直に20mほどかかった鎖が見えるだろうか。

剱岳

このあたりが前剱の門と言われるあたりだろうか。
ガスに包まれていた剱岳が突然目の前に現れた。巨大な岩の塊。

7の鎖、平蔵の頭に到達。岩に固定された足場を登っていく。

登り切ると、また下る。20mの長い急下降の鎖場だ。

剱岳

平蔵谷側を進む。
そして、有名な約50mの岩登りとなる「カニのたてばい」が目の前に見えてくる。

剱岳カニのタテバイ

かの有名な「カニのたてばい」

剱岳カニのタテバイ

ほぼ垂直に感じる。
鎖も途中まであるものの、手で登ろうと思うと危ない。足でしっかり足場をとらえて体を引き上げるようにして一気に登る。

剱岳カニのタテバイ

カニのたてばい上から。

剱岳カニのタテバイ

無事にカニのたてばいを登り切り、後は山頂まで一息、ビクトリーロードだ。

見えた!

絶景の剱岳山頂

6時34分、別山尾根ルートから剱岳(2999m)登頂。
お疲れ様でした。

剱岳

見渡す限りの絶景だ。

剱岳

剱岳からの絶景

剱岳

剱岳

やったー。

記念に撮ってもらいました。
充実感は他の山とはまた違ったものがあった。
剱岳、登ってみないとわからない魅力がある。
この山に魅せられるのも納得。
そして何と言っても山頂からの絶景は格別だ。

 

下山も気を抜けず剱岳

カニのよこばい

30分ほど登頂の余韻にひたりながら、行動食を口にほうばり、もう一つの核心部である下山ルートへ進むことにする。

剱岳

登山の事故の大半は下山で起きる。剱岳の下山には「カニのよこばい」という難所があることで有名。改めて気を引き締め直す。

剱岳

剱岳の別山尾根下山ルートはところどころで登りと下りで別ルートに分けられている。
写真右手は下山ルート。ちょうどカニのよこばい付近で若干渋滞している。

剱岳

4人先の方の右方向にヨコバイルートが存在している。切れ落ちた崖を左手に岩肌にそってトラバースしていくのだが、よく言われるのが一歩目の足の置き場が見えないということ。ただ、体の向きを慎重に動かせば、一歩目はよく見える。足場もしっかりしており、それほど難しくはない。

それよりも、ヨコバイ直後の階段上の鎖に足を引っかけそうになる方が怖い気がする。気が緩んだところで事故は起きる。

剱岳カニのタテバイ

平蔵のコルまで降りて来た。見ると、たてばいは渋滞が始まっている。

ルートを譲りながらゆっくり下りることになる。

目の前に一服剱が見えて来たあたりからようやくホッとし始める。

剱岳

剣山荘が見えた。青空が出迎えてれた。

午前8時57分、剣山荘に到着。
思わず普段は飲まないコーラを購入して一気に飲み干した。美味しかったこと。
そして、剣山荘オリジナルのTシャツも購入。

剱岳

グローブがボロボロになりながら無事にテン場に戻る

これまで長く使っていたブラックダイヤモンドのグローブが破れてしまった。もうほつれていたから仕方ないけれど、剱岳で穴が空いたのなら本望か?

剱岳

午前9時54分、無事にテン場に到着。予定通りに歩くことが出来た。
残していた食事を食べて、急いでテントを撤収。

室堂への戻りも長い

10時24分にテン場を後にする。

帰路は剱御前小屋から雷鳥坂を下って室堂へおりるため、まずは小屋まで登り返していく。

途中久しぶりに雷鳥を目にすることが出来た。
午前11時7分、剱午前小屋到着。
三山を歩いてきたガイドツアーの登山者などで大変賑わっていた。

少し休憩をと思っていたが、ベンチに腰をかけた途端にゴロゴロと雷が鳴った。
連続はしていなかったが、天気は下り坂傾向だったため、休憩をとらずに一気に室堂まで走り抜けることにした。

雷鳥沢キャンプ場

11時42分に雷鳥沢キャンプ場。35分で駆け下りた。
その途中にもゴロゴロと雷が鳴っている。
雷鳥沢に到着した途端に大粒の雨が降りだした。間一髪だったかもしれない。

結局、室堂のバスターミナルに到着したのは12時30分。
すぐにバスに乗り込み、ケーブルカーを乗り継いで立山駅へと戻ってくることができた。
2017年の夏山の大きな目標だった剱岳。立山三山も合わせて歩くことができて充実した山旅だった。

剱岳、また必ず再訪をしようと思う。

 

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  • コメント ( 5 )

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  1. こう 111

    こんばんは!
    剱登頂おめでとうございます!
    自宅から見える山なのですが、さすがに無理
    美しい写真と詳しい文章で剱登頂した気分になりました~w
    ありがとうございます!!

  2. みーパパ

    こう111さん
    自宅から剱岳が見えるなんて本当に羨ましいですね~剱岳は登りごたえがあってとてもいい山でした。
    次は早月尾根からも登ってみたいですが、四季折々の剱岳も見て見たいですね~厳冬期はどんな感じなんでしょう。

  3. koma

    こんばんは~^^
    登頂おめでとうございます!!
    koma家も別山尾根からの剱を登りたいと思っているのですが
    カニのヨコバイの一歩目が特に不安で(;´∀`)
    「剱人Tシャツ」も欲しいんです(*^-^*)
    テン場も、絶景ですし羨ましいです~

  4. みーパパ

    komaさん
    ありがとうございます^^
    夜中雨降っていたので、どうなることかと内心ハラハラしてましたが、何とかなりました。
    カニのヨコバイ確かに絶壁ですが、壁側に身体を向けて、鎖で身体を確保しながら右足を伸ばせば、そんなに難しくなくステップがあります。十分見えると思いますから大丈夫だと思いますよ^^
    剱人Tシャツゲットしてきました(笑)定番ですよね~
    秋にもう一度チャンスがあれば・・・なんて思っています^^

  5. のんさん

    登頂おめでとうございます。
    大変な絶景と、試練の岩壁ハラハラ読ませて頂きました^^
    初めて立山、劔岳を見たとき自然と涙が出てました
    それから、自然と憧れる山になってます
    一生憧れで終わるのかも~(;’∀’)